楽天 延命#2Photo:JIJI

楽天モバイルは、携帯電話がつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」の運用を6月27日に開始した。それ以来、全国的な広告宣伝で「つながりやすさ」を猛アピールしているが、プラチナバンドを使えるエリアはほぼないのが実態だ。実際にエリア展開はどんなペースで進むのか。ダイヤモンド編集部は、楽天が総務省に提出した「プラチナバンド基地局の地域ごとの拡大計画」を独占入手。特集『楽天 延命』の#2では、メディア初公開の「楽天プラチナバンド計画」の全貌を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

楽天が総務省に提出したプラチナバンド計画
年度別・地域別の基地局整備をメディア初公開

「ついにプラチナバンドを手に入れた。契約者1000万人に向けた最重要戦略が、つながりやすさだ」

 6月27日、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長はプラチナバンドの商用サービス開始を表明した。

 プラチナバンドとは700~900メガヘルツ(MHz)の周波数帯を指す。電波がつながりやすいのが特長で、すでに使っているNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社との通信品質の差を埋めるためにも、楽天にとっては悲願のサービス開始となった。

 この日から楽天は、テレビCM、インターネット広告、屋外広告を大々的に展開して、プラチナバンドの商用開始を猛烈にアピールしている。東京・渋谷駅前では巨大な屋外広告を設置して、道行く人に「つながりやすさも最強へ」と訴えている。

 だが、渋谷駅前の巨大広告周辺を含め、現時点で楽天のプラチナバンドの電波を利用できるエリアはほとんどない。

 実は、楽天のプラチナバンドの商用サービス開始当初の対応基地局は、東京都世田谷区に設置した1局のみ。9月に入って、東京都調布市の住宅街で2局目の整備に乗り出して、試験電波の発射を準備している段階だ。今のところ明らかになっているプラチナバンド基地局は、この2局にとどまる。

写真:楽天モバイルの「プラチナバンド」基地局楽天モバイルの「プラチナバンド」基地局。左は東京都世田谷区の1局目、右は東京都調布市の2局目 Photo by Reiji Murai

 楽天は当初、プラチナバンドのサービス開始を2026年3月ごろと発表していた。そのため今年6月のサービス開始で「前倒し」ばかりを強調しているが、プラチナバンドのエリア整備は全く進んでいないのが実態だ。

 では、今後の基地局整備はどのように進んでいくのか。ダイヤモンド編集部は、楽天が総務省に提出した非公開の「プラチナバンドの基地局開設計画」を入手した。

 現時点で、総務省が公表している楽天のプラチナバンドの基地局開設計画は「33年度末までに544億円を投資して、全国で1万0661局の基地局を整備する」としているのみで、それ以上の具体的な整備計画は明らかになっていない。

 次ページでは、楽天のプラチナバンドの年度別・地域別の基地局整備の詳細計画を明らかにする。メディア初公開の衝撃データである。