岸田文雄首相の支持率が急降下し、参院選勝利で「安定政権」を目指した思惑は就任1年を前に大きく崩れようとしている。円安・物価上昇が止まらず実質賃金が下がり続ける一方で、自民党と旧統一教会との不透明な関係が浮き彫りになり政治不信が広がるなか、岸田首相は世論が二分する安倍晋三元首相の国葬にこだわり、経済政策でも岸田色を出せないでいることに批判が強まる。旧統一教会と自民党政治はなぜ結び付いたのか、政治の信頼の回復に何が必要なのか。経済政策はどう変えていくべきなのか。国葬の「欠席」表明し、“自民党ひとり良識派”を掲げて「安倍一強」時代から縁故人事や忖度がはびこる「安倍・菅政治」やアベノミクスに物申してきた村上誠一郎元行革担当相に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)
期待外れだった岸田政権の1年
「安倍・菅政治」と大同小異
――自民党総裁選では岸田首相を支持しましたが、岸田政権の1年をどう評価していますか。
岸田首相には自由闊達な議論のある自民党に戻してほしいということで期待して応援したが、今までのところは、残念ながら安倍・菅政権の政治とあまり変化が見られていない。人事や政策も新味がなく、「聞く力」を強調してきたが、結局、周囲の人の意見に従っている。
総裁選の時に支援を頼みに来られたので、「独自の政策や人事をやってほしい」と言うと、「やります」ということだったので応援した。首相自身、何がしたいのか見えてこない。一国の総理には信念や哲学を熱意を持って示すことが必要だ。
ここにきて、急激な円安や物価上昇、旧統一教会問題や五輪汚職などが重なってきたが、問題をきちんと解明し、事態を良くしようという姿勢が十分に伝わらないことが、支持率の急低下につながっている。
――旧統一教会問題では、党の点検で179人、自民党議員の約4割が教団となんらかの接点があることが明らかになりました。ここまで多くの自民党議員が関係を持っていたのは衝撃でした。