「ねこ背」を自宅で治す方法、整形外科の名医が教える最新体操とは写真はイメージです Photo:PIXTA

新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが増加し、気付けば背中を丸めて座る「ねこ背」になっていたという人も多いはず。ねこ背に悩む人も増えているなか、どうすれば改善できるのか。『ねこ背 何歳からでも自力で治せる!整形外科の名医が教える最新1分体操大全』(文響社)著者の一人、北里大学大学院医療系研究科整形外科学教授の高平尚伸氏に聞いた。(清談社 小森重秀)

30~50代に多い
「首ねこ背」と「腰ねこ背」

 実は、耳なじみのある「ねこ背」という言葉は正しい医学用語ではない。骨盤が立った状態で背骨が適切なS字カーブを描けていない悪い姿勢のことを、分かりやすくねこ背と表現しているにすぎない。

背骨は、お尻にある仙骨・尾骨を除く24個の椎骨が重なって、S字カーブを描きながら体を支えている背骨は、お尻にある仙骨・尾骨を除く24個の椎骨が重なって、S字カーブを描きながら体を支えている 画像提供:『ねこ背 何歳からでも自力で治せる!整形外科の名医が教える最新1分体操大全』(文響社)

「共著者の一人として私が参加した本では、カイロプラクティックの先生が提唱されている部位の分け方にのっとって、ねこ背を大別しています。首付近の頚椎(けいつい)が前弯(そる)していない状態を『首ねこ背』、胸付近の胸椎が大きく後弯(丸まる)している状態を『背中ねこ背』、腰付近の腰椎が前弯していない状態を『腰ねこ背』と分けています。これらのタイプが複合して発生している場合も多いです」

 たかがねこ背、されどねこ背。病院に行くほどの痛みがあるわけでもなく、見た目がよくないだけだと放置していると、さまざまな体の不調を引き起こす。たとえば、体のバランスが崩れて、股関節やひざ関節に悪影響を及ぼすようになる。すると、外出するのがおっくうになってしまい、高齢者の場合は認知症のリスクが2~4倍に高まるそう。また、「いつの間にか骨折」と呼ばれる脊椎圧迫骨折を引き起こすケースもある。

「私が診察する患者さんで最も多いパターンは、骨粗鬆症で背骨がつぶれてねこ背になった人。こうした背中ねこ背のタイプは、高齢の方が中心です。30~50代の人は、首か腰のねこ背が多い印象です。ちまたでよく聞く『ストレートネック』も首ねこ背の一種。デスクワークやスマホの使用によって、本来軽く前弯している頚椎(けいつい)が真っすぐな一本の棒状の配列に変形して、重い頭部を支えている状態です」