カースト上位層から得るべきヒント(1)
「モノの減らし方」より「残したモノの根拠」

 繰り返しますが、上位層の暮らしは、決して万人の正解ではありません。ミニマリストの「少ないモノで生きていく」というのも、個人の哲学にすぎない。ベッドどころか布団すら所有せず、日常的に寝袋で眠るのが心地よい人は、そう多くはないはずです。

 ただ、上位層と悩める中間層の大きな違いは「大事にしたい時間や過ごし方がはっきりしているかどうか」にあるので、「自分の価値観を見極めるきっかけ」としてヒントにするのはおすすめです。

 例えば、キッチン収納でミニマリストが「私にとって必要なのは鍋●個とフライパン●個、それにこの調理道具だけ」「なぜなら自分は料理が好きじゃないし、今後もずっと手間をかけずに乗り切りたいから」と言っていたなら、ヒントになるのは「必要なのは鍋●個、フライパン●個」ではなく「この人にとって、料理は『手間をかけないことが大事』」という部分です。

 そこから、「私はどうなのだろう?」と考える。「手間をかけたオーブン料理が好きだけど、ここ3~4年は楽しむ余裕がないから、すぐに取り出せる場所には置かなくていい」と考えることができます。

 すぐに使わないモノは、ミニマリスト的には即処分なのでしょうが、悩める中間層が無理して捨てることはありません。この本でも解説していますが、「封印」という形でタイムカプセルのように眠らせておけばよいのです。

 洋服も靴も、本もすべて同じ。中間層の片づけがうまくいかない理由の一つは「コンセプトがないこと」にあります。今、自分が優先して過ごしたい時間、大事にしたいことを見つけましょう。