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アナリティクスはイノベーションの原動力。日本経済の再生を促す「ゲーム・チェンジャー」
――吉田仁志・SAS Institute Japan社長に聞く

【第21回】 2013年1月29日
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具体的な選択肢を提示し、
業績を向上させるアナリティクス

――ビッグデータは活用の段階に入り、ネット系企業のみならず一般企業でも、ビッグデータ分析で大きな成果を引き出すことに成功した事例が出てきています。一方で、「これまでBI(Business Intelligence)に投資して『見える化』に努めてきたが、業績は伸びていない。それなのに今度はビッグデータ分析か」と負担に感じる企業や、「うちにはビッグデータは関係ない」と思っている中小規模の企業などもあります。

 従来型のBIと、SASが考えるビッグデータ分析「アナリティクス」とでは、目指すところも得られるものも大きく異なります。

 従来型のBIは、企業内で起きた過去のことを、誰にでも見えるようにする手段でした。しかし、「見える」だけでは人は動きませんでした。これに対してアナリティクスは、今起きつつあることは何か、次に人々はどのような行動をするかを予測し、それに対してどのようなアクションをとればよいか、具体的な選択肢を示します。アナリティクスから知見を得て、将来予測に基づいた的確な意思決定をすばやく行うことができます。

 例えばBIでは、「紙おむつを買う客は同時にビールも買う」のように、併売すると効果的な商品の組み合わせを、過去のデータから見つけ出すことができました。アナリティクスでは、ある商品をこう組み合わせて特定の地域で売るとどうなるか、色を変えるとどうなるか、価格を変えたら、など、現在進行中のデータを使って何十通りものシミュレーションを行えます。その上で、最適な手段を短時間で判断することができます。アナリティクスは、過去の結果データのとりまとめではなく、将来予測によって意思決定の精度を高めます。アナリティクスは、人を動かします。だからこそ、企業の収益性向上に直結するのです。

 もう一つの重要な相違点は、スピードです。

 従来型のBIは、夜間バッチ処理でデータウエアハウスを構築したり、分析の切り口ごとにデータマートを生成したりして使うものであり、結果を得るまでに時間がかかっていました。しかし、今起きつつあることを把握するのに1週間かかっていては、次のアクションに意味がなくなってしまいます。

 SASは、多種大量のデータを高速に分析し、そこから知見を導き出すことのできるソリューションとして、「SAS High-Performance Analytics」(HPA)を提供しています。HPAは、単純なビッグデータ処理システムではなく、「ビッグデータをきわめて高速に分析して知見を引き出す」という目的のために並列処理を駆使したソリューションです。10時間かかっていた計算を1分でできるようにすることではなく、20通りの施策のシミュレーション結果を瞬時にしかもわかりやすく提示できることを追求しました。

 HPAのように的確なアナリティクスの環境を構築しておけば、朝、新聞に折り込まれている他店の広告を見てから、「今日、目玉商品と併売商品の値段をどのように設定すると粗利や損益がどうなるか」を何通りもシミュレーションし、ファクトベースの値付けをして店をオープンすることが可能となります。目玉商品は他店より安く設定しながら、粗利をきちんと確保した特売セールを打つこともできます。中小企業であっても、「今までできなかったこと」ができるようになり、大企業や世界と伍して戦えるようになるのです。

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