コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はJR東海、JR東日本、JR西日本の「鉄道」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
JR3社は前年同期比で増収
JR東海は7割超の大幅増
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の鉄道(JR)業界3社。対象期間は2022年2~6月の四半期(3社いずれも22年4~6月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・JR東海
増収率:71.3%(四半期の売上高3093億円)
・JR東日本
増収率:28.7%(四半期の売上高5576億円)
・JR西日本
増収率:47.1%(四半期の売上高2971億円)
※JR東日本は会計上に見積もりの変更を行っているが、同社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適用していない。
JR3社全てが2桁超えの増収を記録した。
鉄道業界は、新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限の影響を受けて、新幹線や定期券の利用が減るなどの大きな打撃を受けてきた。しかし今春以降は、行動制限も緩和されて人出が増えたことにより、鉄道需要も増えて各社の業績が回復基調にある。
中でもJR東海が7割超の大増収となったのはなぜか。そして新型コロナウイルス感染拡大前と比べると現在の水準はどの程度なのか。
次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、詳しく解説する。