この会見でEV事業については、ソニーGと提携しているEV事業とホンダ独自のEV事業とは区別することを示している。

 ホンダ独自の戦略としては、米ゼネラルモーターズ(GM)との協業を拡大させつつ、国内は軽商用EVから先行させること、バッテリー調達はGMや中国・CATLなど世界の地域ごとに多様に連携していくことなどがポイントとして挙げられる。

 ホンダは、GMとの協業で中型量販EVのプラットフォーム共用化を図っており、これが北米EV事業の中核となる。一方で、国内は日本の主力である軽自動車市場を攻略するために、24年前半に100万円台の軽商用EVを投入することを明らかにしている。日本アジア地区は小型車EVを主体とし、地域特性に応じて小型・中型・大型の戦略的なEV事業展開を図ることにしている。

 EV事業のカギを握るバッテリー調達も、北米ではGMが開発した「アルティウム」を活用するほか、中国ではCATLを、国内軽EVについてはエンビジョンAESCを活用する考えを示している。8月には韓国LGと北米のオハイオ州に電池工場を新設することを発表している。

 また、ソニーGとの提携会社「SHM」設立発表会見の直前の10月11日には、オハイオにある3工場をEV生産のハブ拠点として設備更新することも発表した。ちなみにオハイオ工場は、日本車の米生産進出の先駆けであり、日本車として初の米工場となった歴史がある。その象徴的なオハイオ工場で、ホンダ・ソニーG提携による新型EVも生産されることになるのだ。

強力タッグの革新に期待も
自前EVとの「差別化」が気がかり

 まとめると、ホンダのEV戦略はGMとの協業やソニーGとの提携、バッテリーは韓国LGとの合弁による生産や中国CATLとの資本提携による調達など、かつての「自前・自立主義」から大きく転換している。

 その中にあって筆者が気がかりなのは、ソニーG提携EV事業と自社EV事業をどう差別化していくのかが見えないことだ。