学習コミュニティを活性化させるコツ

星:モチベーションとも関連してきますが、コミュニティを活性化させる際に、気をつけていることはありますか?

たてばやし:共通の分野を学習している仲間と、情報を共有できる場をつくることを意識しています。

 私が主宰するオンラインコースの受講生は社会人が多いので、勉強仲間がいないという声をよく耳にします。

 何かを学んでいくときに、共通の仲間は職場には誰もいないと、孤独を感じている人が多い。

 ですから、オンライン上で共通分野を学んでいる仲間と情報共有できる場があるだけでも、モチベーションが高まるのだと思います。

 一人でも多くの人が参加しやすい環境整備が重要です。

星:なるほど。そこにつけ加えると「頻度」が大切ですよね。

 お互いが接する頻度を多くすることで、自然とコミュニティ意識が高まっていくのではないかと思います。

 コミュニティをつくるとなると多くの課題がありますが、どのようなやり方が成功につながっていくのでしょう。具体例はありますか?

たてばやし:やはり、ネットだけでなくリアルで交流する「場」を設けるとコミュニティが活性化します。

 私は、Udemy講師同士で小さなグループをつくっています。

 その中では、人それぞれ教えていることは違いますが、飲み会や交流会を開催すると、「Udemyで頑張っている仲間」という意識が自然と芽生えてくる気がします。

 オンラインだけでなくリアルのイベントを挟むと、コミュニティが盛り上がってきますし、一回会ったことのある人のほうがオンラインでの会話も断然弾みます。

星:おっしゃるとおりですね。一度でも直接会って顔を合わせる機会があれば、画面の向こうに人間がいるなんだなと、その人をリアルにイメージしやすくなりますよね。

学習効率が劇的に上がる「コラボ学習」とは?

星:こうした流れは学習効率との良い関係もありますよね。

 実際、近年のトレンドとして「コラボ学習」が注目されています。

 これは名前のとおり、他の人と関係を持ちながら学習していくスタイルです。

 コラボ学習については、どのようにお考えでしょうか?

たてばやし:私はオンライン講師として動画で学ぶ講座について長年研究してきましたが、教える側にしても、より多くの人と関わったほうが学習の効果が高まることを実感しています。

 星先生初の著書『スタンフォード式生き抜く力』でも、周りの人と一緒に学ぶことで、脳内にドーパミンが分泌され、動機づけされる、という話がありましたね。

 オンライン学習では、一人でずっと部屋にこもって学習しているうちにモチベーションが下がってしまうことがあります。

 しかし、人と関わりながら学ぶことでモチベーションが高まることが脳科学的にも裏づけがあることを知り、大変興味深く拝読しました。

 反転学習の話でもありましたが、ライブを取り入れたり、動画のコメント欄で交流し合えるようにしたり、ツイッター上のコミュニティをつくって受講者同士が対話できるようにしたり、いろいろな形で「コラボ学習」を意識し、実践しています。

星:脳科学的な視点でいうと、画面の向こう側に相手がいると想像するだけでも、学習効果が上がるということがわかっています。

 ですから、オンラインコミュニティを活性化させるためだけでなく、学習効率を高める意味でも、人とのつながりをいかにオンライン上で工夫して用意できるか、これが重要だと思います。

 私の学校でも、オンライン高校ではありますが、時々開催する対面のイベントにはものすごくリソースをかけたりします。

 それほど「オンラインだけで完結させた教育はできない」と、常々思っているところです。

 やはり、オンライン教育とはいっても、適度にリアルでの接点をつくることも大事です。

 同じ教育者として、畑は違いますが、共通点を多く発見でき、大変楽しくお話しさせていただきました。本当にありがとうございました。

(本稿は『スタンフォード式生き抜く力』の著者・星友啓氏による特別寄稿です)