副業から「絶対撤退」のボーダーライン

――いやー、おっしゃるとおりですね。
 次に、「取り組んでいる副業を変えるべきとき」の見極め方について教えてください!

サラタメ:ズバリ、「目標にしている人すら稼げなくなってきたとき」ですね。

――それは、副業のモデルケースになる人、的な意味でしょうか?

サラタメ:そうですね。

 たとえば、私のYouTubeの例でお話ししましょうか。

 私は書籍解説チャンネルを運用していますが、同じような方向性の企画をやっている他のチャンネルの再生回数なども、日頃から分析するようにしているんです。

 なかでも、とくに注目しているのが、オリエンタルラジオ中田敦彦さんの「YouTube大学」。

 書籍解説専門のチャンネルではありませんが、大人向け勉強系分野では、中田さんが最強クラスになるのかなと。なので、中田さんをベンチマークにしているんです。

――なるほど。サラタメさんも中田さんも、人生・仕事に活きる情報をわかりやすく解説されていますもんね

サラタメ:ええ。「私にものすごい実力があったら、中田さんレベルになれるはず」と、あえて拡大解釈をするんです。

 この仮説をもとに考えてみると、「中田さんすら稼げなくなったら絶対撤退」というボーダーラインが見えてくる。

 このように、「同じ市場・同じジャンルでトップオブトップの人」の数字の伸び方をつねにチェックしておき、エネルギーを投資するべきか否かを判断するといいと思います。

――ちなみに、サラタメさんがいま運用されている書籍解説チャンネルについては、どんな判断をされているのでしょうか?

サラタメ:トップクラスの方々の数字は伸びているので、撤退はまだまだ先かなと思っています。

 ただ、中田さんまでいかなくとも、他のビジネス系チャンネルを見てみると、だんだん再生回数が落ちているところもあるみたいですね。

 1年くらい前から、伸び続けている人と、数字がガンガン落ちている人の差が大きくなってきた気がします。

 なので、「YouTube、いつか店じまいかもな」という懸念はつねに念頭にありますね。

 それもあって、書籍解説チャンネル以外に転職情報を発信するチャンネルをつくったり、ブログをつくったりと別分野へ横展開するようにしています。

――YouTube運営など、「インフルエンサー型副業」ではなく、自分の技術を売って稼ぐ「ディレクター型副業」の場合も同様ですか?

サラタメ:ディレクター型も、同じ考え方で問題ありません!

 やはり、ベンチマークがあるといいですね。

 たとえば動画編集を請け負うビジネスなら、一流クリエイターの人がどれだけ稼いでいるか、まずは調べてみるとか。

「インフルエンサー型副業」と違って公開情報があまりないので、ちょっと手間はかかりますけどね。

 正確な細かい数字まではわからなくても横のつながりなどで聞けばある程度は推測できると思うので、逐一チェックしておくといいと思います。

スモールビジネスの肝は機動力

――ありがとうございます、とても勉強になりました!
「なんとなく」のフィーリングだけで判断するのではなく、しっかり撤退ラインの基準を設けたいと思います

サラタメ:もちろんスキルによっても変わるんですが、なによりめちゃくちゃ大事なのは、「稼げる市場かどうか」なんです。

 どれだけスキルが高くても、求めている人がいなければお金はいつまでも生まれません。

 スモールビジネスの肝は「機動力」。

 企業では難しい「やっぱりうまくいかなかったから明日から切り替えよう」と、すぐに舵取りできることこそが個人事業の大きなメリットです。

 副業をうまくいかせるための技術は、『シン・サラリーマン』にこれでもか! とつめこんでいますので、ぜひ「副業マニュアル」として使ってください!

――たしかに! はい、机の傍に置いて、全部実践していきたいと思います!

(本原稿は、話題沸騰のサラタメ著『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン──名著300冊から導き出した人生100年時代の攻略法』の内容をもとに、新たに著者がインタビューを受けたものです)