医療費のイメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

10月1日から社会保険に加入できる対象者が、101人以上の中小企業勤務の非正規雇用者にも拡大された。これまで加入していた国民健康保険などと社会保険に加入するのは、具体的にどう変わるのか。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第249回では、具体的な金額の負担内容の変化に加えて、加入のメリットとデメリットを詳しく見ていこう。(フリーライター 早川幸子)

社会保険の適用拡大は目先の保険料負担ではなく
もらえる傷病手当金や年金などの給付で損得を考えよう

 10月1日から、パートタイムやアルバイトなど、短時間労働者への社会保険の適用範囲が拡大された。ここでいう社会保険とは、企業が従業員に対して提供する健康保険(被用者保険)、厚生年金保険のことだ。

 短時間労働者への社会保険の適用は、2016年10月から段階的に拡大されており、これまでは従業員数が501人以上の大企業が対象となっていた。だが、今回の見直しで、その適用範囲が一段階進み、従業員数101人以上の中小企業にも適用されることになったのだ。

 社会保険に加入すると、給与から保険料が天引きされ、手取りは減ってしまうため、適用拡大に難色を示している人もいるだろう。だが、普段から保険料を負担しておけば、その分、いざというときにもらえるお金も増える。コロナ禍では、社会保険に加入しているかどうかで、いざというときの給付に歴然とした差が出て、その重要性が再認識された。

 厚生労働省は、今回の見直しで、新たに約45万人が社会保険に加入すると試算している。実際に、適用対象となった短時間労働者はどのような人たちなのか。また、どのような給付を受けられるようになるのだろうか。ここでは、主に社会保険の中の健康保険(被用者保険)の負担と給付について確認していきたい。

●週20時間以上労働年収106万円以上の人は、勤務先が社員101人以上の企業であれば社会保険に強制加入となる
●社会保険加入で負担は増える人が多いが、傷病手当金・出産手当金がもらえるという大きなメリットがある