元マイクロソフト日本法人の会長で、現在は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の古川享さんをホストに迎えて、古川さんが日本を変えていく存在と期待を寄せるスマート・ウーマンの方たちとの対談を掲載しています。土肥亜都子さんは、マイクロソフト、グーグルなどのグローバルIT企業で活躍され、現在は、電気自動車を開発するテスラモーターズで広報の仕事をされています。「マイクロソフトに入っていなければ、今の自分はない」と語る土肥さん。かつてのボスを前に仕事と人生を語っていただきました。

仕事は、人のつながりというより結果ベース

古川享(以下古川):土肥さんは大学卒業後、ずっとIT関連の会社で働いてきたのですか?

どい・あつこ/テスラモーターズ アジア太平洋地域広報渉外。2010年のテスラの日本参入直後より、東京をベースに、同社の日本、香港、オーストラリア、中国を担当。1968年東京生まれ。日本女子大学文学部卒。
Photo by Sam Furukawa

土肥亜都子(以下土肥):現在勤めているテスラモーターズは、米国カリフォルニアベースの電気自動車の会社で、ITの要素も強いですが、自動車業界です。IT関連と言っていいかどうか。しかし、テスラの共同創業者兼CEOのイーロン マスクは、テスラ以外にもスペースXという宇宙関連会社、ソーラーシティという太陽光発電関連会社、そして個人の財団もやっておりまして、これらについても、テスラ以外は北米での活動が中心の会社・組織ですので、日本を始めとするアジアのメディアからのお問い合わせに対応しています。テスラ以外は、要点を整理して、ノーツをつけて現地に渡すだけとは言え、こんな最先端の技術に常に接しているなんて、20年前の自分からはとても想像できないです。

古川:詳しい経歴は追ってお聞きしたいと思いますが、土肥さんはマイクロソフト、グーグル、テスラという、常に最先端の技術を提供しているグローバルカンパニーに在籍されています。転職の際には、誰かが招いてくれたり、知人の推薦を受けたりして、話に繋がっていったというような歴史があったのでしょうか。

土肥:能動的に転職活動をしたことはあまりないのですけれど、4年くらいすると、どうも飽きちゃったり他に目が行ったりする傾向があって、その辺につけ込んでもらえる感じでしょうか(笑)。

 いわゆる人間関係で仕事をすることはある時点で止めました。企業広報はドライな判断を求められることのほうが多いので、人間関係で仕事していると判断を間違うなと思ったことがあったのです。あの人があんなに頑張って作ったプロダクトだから、いいPRをしてあげたい、あの人が楽勝でやっつけたプロダクトだからやらない、親しい記者さんだからOK、手強い記者さんだからダメ、というわけにもいきません。