時短で学ぶ「ファスト教養」人気の問題点と、本当に仕事に効く良書の選び方写真はイメージです Photo:PIXTA

「実益のために教養を学ぶ」という人は、従来それほど多くはなかった。しかし近年は「仕事で役立つ」「上司に信頼される」として、教養はビジネスのためのツールになっているという。そうした状況を「ファスト教養」と名付けたのは『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』(集英社新書)を上梓したライターのレジー氏。同氏に、ファスト教養が流行する背景や、今後の学びのあり方を聞いた。(清談社 沼澤典史)

ビジネスパーソンの間で
ファスト教養が広がる理由

 書店に行けば『ビジネスで役立つ! 教養としての○○』という本が並び、YouTubeでは「10分でわかる△△」という話題の書籍や歴史などを解説する動画が無数に配信されている。また「ビジネスのために、これからは教養を身に付けろ」という言説を聞いたことがある読者も多いだろう。

 昨今はビジネス、成功、出世のツールとして、“教養”が語られるケースが目立つ。この状況に疑義を呈し、一石を投じるのがレジー氏だ。レジー氏は一般企業で事業戦略・マーケティング戦略に関わる傍ら、ライター活動を行っている。

 ビジネスパーソンでもあるレジー氏は上記のような状況やコンテンツをひっくるめて「ファスト教養」と名付けた。氏が言うファスト教養とは、どういったものなのか。