世界的に総じて旅客需要が回復に向かい、日本でも水際対策の緩和もあり、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)の客室乗務員(CA)はフライトが急増。目下、大忙しの日々を送る中、CAたちは改めて中長期的なキャリアを考えるようになった。会社側もCAの働き方を見直すようになった。特集『ANA・JAL 黒字回復後の修羅』(全13回)の#6では、ANAとJALにおけるCAの働き方と出世のリアルをお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
コロナ禍で乗務時間ほぼゼロに
それが今は月80~90時間
新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、日系大手のある若手客室乗務員(CA)はジェットコースターに乗っているような感覚に陥った。
それまで忙しい時期の乗務時間は月80~90時間だったのが、コロナ禍で一気になくなってほぼゼロ状態に。2021年に入って月40~50時間に戻り少し不安が緩んでいたところ、22年夏くらいから月80~90時間に引き上がった。
しかも、国内線を中心に需要が戻っていったことから、近距離フライトが中心。同じ乗務時間でも、近距離便で回数をこなすのは、1回のフライトで長時間乗務する長距離国際線よりきつい。しかも、コロナ禍の影響で衛生面などの仕事が増えたり、飛んだ先の空港が人手不足でオペレーションが滞ったりで、需要が回復してきたことを喜ぶ余裕もない。
とはいえ、収入面でも、キャリアを築く環境の面でも、CAたちにとっては当然プラスの流れだ。この間は、自身にとってのCAのキャリアというものを考える時間にもなった。
そこで改めて当事者に問うた。全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)で、働きやすいのはどちらなのか。出世しやすいのはどちらなのか。