ANA「エリート街道」に天変地異!子会社の給料が本体を上回る構造改革の波紋Photo by Masami Usui

ANAグループにおいて、航空事業の中核として売り上げの大半を生み出す全日本空輸(ANA)は、グループ会社の中で最も給料水準が高いのが当たり前とされてきた。ところがこの不文律が壊れた。本体の給料を上回る子会社が現れたのだ。特集『ANA・JAL 黒字回復後の修羅』(全13回)の#4では、ANAグループにおける雇用・賃金体系の異変を追った。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

40代後半のANAグループ社員
転職すれば年収アップだが…

 ANAグループで働く木元一臣氏(47歳)と板橋直樹氏(48歳)。2人は年齢だけでなく、要所要所でキャリアが重なってきた。

 どちらも中途入社組。グループの中核である航空事業会社、全日本空輸(ANA)の業務に長年携わる中で、LCC(格安航空会社)のバニラ・エア設立に共に関わった。そして新型コロナウイルス感染拡大以降、2人にANA Xからお呼びがかかった。

 ANA Xはマイレージ会員を顧客基盤に商材やサービスを販売・提供するプラットフォーム会社で、ANAグループにおける非航空事業拡大の要だ。

 異動を重ねて築かれた2人のキャリアは、苦境が続いた航空会社の社員でありながらも、実は今の人材採用市場で高い価値が付くものになった。転職すれば、年収アップを狙える。

 そんな彼らが今、腐心しているのは自らの転職ではない。転職者を自社に集めることだ。

 中核会社のANAはこれまで、グループ会社の中で最も賃金水準が高いのが当たり前とされてきた。しかし、ANA Xは3月に子会社を設立し、この不文律を壊した。

 板橋氏が社長となったこの新会社は、独自の雇用・賃金体系を導入。給料でANA社員を上回れるものにした。

 なぜ2人の市場価値が高いのか。なぜANA本体よりも子会社が高給取りになれるのか。次ページでは、その事情を明らかにする。