ANA・JAL 黒字回復後の修羅 #12Photo:Photolibrary

世界の航空会社が稼いだ売上高について、新型コロナウイルス感染拡大前と2年後で比較したところ、コロナ禍に対する国の政策が航空会社に与える影響があらわになった。特集『ANA・JAL 黒字回復後の修羅』(全13回)の#12では、世界の航空会社の売上高ランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

世界の売上高ランキング
ANAとJALはランクダウン

 航空業界は目下、旅客需要の回復という追い風を享受している。この風の強さは国によっで差が出る。

 世界の航空会社の売上高について、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年前半(1~6月)と、22年前半(1~6月)でそれぞれのランキングを作成したところ、この差があらわになった。

 新型コロナウイルスの水際対策緩和が早かった欧米を拠点にした大手航空会社は、22年前半もコロナ禍前と同じく売上高トップ勢のまま。22年1~3月売上高は19年を下回っていたのが、22年4~6月になると19年を上回るところが多かった。大きな国内線市場を持つ米国勢は、国内需要が戻ったことも大きくプラスに働いた。

 コロナ禍の中で雇用を基本的に維持してきた日系大手とは対照的に、欧米は大胆な人員削減をしてきた。その影響が出て人手不足で供給が追い付かない事態に陥っているのだが、この逼迫が航空運賃の上昇を後押しし、結果として稼ぎにつながっているのは皮肉である。

 このランキングで日本の2強であるANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)は、コロナ禍前よりもランクダウンした。