隔離施設から自宅に戻った女性が飛び降り自殺

 例えば今の中国では、感染者のみならず、濃厚接触や通常の接触が疑われる人たちまでも強制隔離されることになっている。そうした人たちが暮らす集合住宅では、全住民を「接触者」とみなし、アパートの入り口を鉄板や鉄柵で塞ぎ、一切の出入りができなくされてしまうのだ。

 今月5日、内蒙古自治区の中心都市フフホトで、隔離施設からそんなアパートに帰宅した女性が自宅中にまかれた消毒液によって家の中がめちゃくちゃになっているのを目にして衝撃を受け、窓から飛び降りるという事件が起きた。それに気づいた娘はすぐに階下に駆け下りたが、はんだ付けされた鉄板にさえぎられ、飛び降りた母の元にたどり着けない。救急車が到着するまでの約1時間、彼女が鉄板をたたきながら泣き叫ぶ声だけが団地内に響き渡った。

 さらに団地の管理者は横たわる遺体を住民の目にさらすまいと街灯を切ってしまい、周囲は真っ暗に。娘の金切り声に同情を禁じえない住民たちは自宅の部屋の電灯をあかあかとつけて、スマホの光で遺体を照らし続けたという。

 また、甘粛省蘭州では、ロックダウンが行われている中、一酸化炭素中毒になった3歳の子どもが救急車を待つ間に亡くなるという事件があった。救急車が到着するまで1時間近くも待たされ続けた父親と近所の人が団地管理者を拝み倒し、やっと団地の外に出てタクシーで病院に運び込んだが、すでに子どもは事切れていたという。ネットにはこの事件を受けて、「3歳……この子の一生はコロナとともに始まり、コロナの間に終わってしまった」というつぶやきが流れ、それを多くの人たちが怒りとともにシェアしていた。