コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7〜9月度の総合スーパー編だ。

7~9月度の既存店売上高は好調
その背後に見える「懸念とは?

 総合スーパーの主要5社が発表した7〜9月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯イオンリテール(イオン)の既存店売上高
 7月度:前年同月比101.0%(1.0%増)
 8月度:同101.3%(1.3%増)
 9月度:同103.0%(3.0%増)

◯イトーヨーカ堂(セブン&アイHD)の既存店売上高
 7月度:前年同月比100.7%(0.7%増)
 8月度:同99.9%(0.1%減)
 9月度:同102.2%(2.2%増)

◯ドン・キホーテ(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス〈HD〉)のディスカウント事業既存店売上高
 7月度:前年同月比103.6%(3.6%増)
 8月度:同101.5%(1.5%増)
 9月度:同105.0%(5.0%増)

◯ユニー(パン・パシフィック・インターナショナルHD)の既存店売上高
 7月度:前年同月比99.0%(1.0%減)
 8月度:同96.3%(3.7%減)
 9月度:同97.2%(2.8%減)

◯イズミの既存店売上高
 7月度:前年同月比99.3%(0.7%減)
 8月度:同103.7%(3.7%増)
 9月度:同103.8%(3.8%増)

 2022年7~9月の3カ月の月次業績を見ると、イオンリテールとドン・キホーテは3カ月連続で前年実績を上回り、ユニー1社が3カ月連続で前年同月比を下回る結果となっている。

 だが、この数字だけを見て「イオンリテールとドン・キホーテの2社は好調」と判断してしまうと見誤る可能性が高い。小売りはコロナ禍の影響を大きく受けた業界の一つであり、その点を考慮しないと各社の実態が分かりにくいからだ。

 さらに、総合スーパー各社の業績を占う上で見逃せない懸念点も出てきている。次のページでは、時系列の業績の分析から実態を把握し、今後の懸念点についてもしっかり見ていこう。