中国の習近平国家主席中国の習近平国家主席 Photo:Lintao Zhang/gettyimages

共産党大会後初の外遊で
注目される米中首脳会談

 第20回党大会が閉幕し、新指導体制がお披露目となってから早くも3週間がたった。国務院総理、各省庁の首長、国家副主席を含め、新政権を巡る全ての人事が決定するのは来年3月の全国人民代表大会(全人代)であり、その意味で、現状は政治的過渡期にある。一方、政策や人事を含め、新政権は早くも本格的に動きだしているようにも見受けられる。

 筆者が本稿を執筆している11月14日から19日まで、習近平国家主席(以下敬称略)は党大会後初めての外遊に臨む。14~17日はG20首脳会議に出席するためにインドネシアに、その後19日までは、アジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席するためにタイを訪問する。

 中国外交部は11日に発表したプレスリリースで、習近平は「会議出席期間中、相手国の要望に応じる形で、フランスのマクロン大統領、米国のバイデン大統領、セネガルのサル大統領、アルゼンチンのフェルナンデス大統領など多くの国の指導者と二カ国間会談を実施する予定」と言及している。

 最も注目されるのは、習、バイデン間で初となる対面での米中首脳会談である。新指導体制お披露目から11月14日時点に至るまでの間で、新たに政治局委員に昇格した王毅外相は、米国のバーンズ駐中大使と対面で会談、ブリンケン国務長官と電話会談を行い、首脳会談に向けて念入りに準備をしてきている。

 経済、台湾、新型コロナの発生源問題などを含め、共産党の正統性を維持、強化するために、対米関係の安定的管理が最優先事項の一つという認識を、新政権が引き続き抱いている現状が垣間見える。