成金、爆買いイメージはもう古い
いまの中国人富裕層は日本文化をよく知っている
さらに袁氏は「これを知ってほしい」と続ける。
「中国人富裕層というと、日本ではまだ金のネックレスを身に着けて毛皮を羽織る、いかにも成金、といった人物像を思い浮かべる人がいるかもしれませんが、現在30代~40代の若手経営者は洗練されており、かつての中国人のお金持ちのイメージとは180度異なります。
彼らは外見があか抜けているだけでなく、日本の文化やアートにも造詣が深く、奈良美智さんや草間彌生さんなどの芸術や、日本建築への深いリスペクトもある。日本文化を心から理解したいと思っています。Q10『コロナ後に行きたい日本の都市』の回答にあるように、彼らは文化レベルが特に高い東京や大阪にも行きたいと思っていますが、逆に、日ごろのストレスから解放されて、観光客の少ない静かな町で癒やされたいとも思っています。『おくりびと』や『海街Diary』などの日本映画を見て、日本的な空気感に憧れ、静かな時間が流れている日本の小さな町で、のんびりと、何もしないで一日過ごしてみたいという声も多いです」
コロナの影響で訪日外国人観光客の3割を占める中国人が日本に来られなくなってもうすぐ3年がたつ。コロナ前の2019年も中国人観光客の約8割は個人旅行客であり、団体旅行客が主流の時代は過ぎていた。だが、日本では依然として2015年頃に起きた「爆買い」ブームのイメージが強く、メディアも、銀座や浅草を闊歩する団体客を想定としたイメージで彼らを語ることが多い。
しかし、一口に「中国人観光客」といっても千差万別であり、その実態は変化しているということが今回のアンケート結果からも分かる。彼らの幅は日本人が想像するよりもずっと広く、彼らの多様性も、日本人の目にはなかなか分かりにくい。だが、都市部の30代~40代の富裕層に限定してみれば、彼らの志向はここまで進化し、成熟しているということが分かるのではないだろうか。