アドビはすでに、2016年のAdobe MAXでAI活用をさらに進めると発表し、その枠組みを「Adobe Sensei」という名で紹介しています。「先生」と名付けられているのは、アドビの日本へのリスペクトの表れと聞きます。アドビが今ほど大きくなかった頃、日本の組版や印刷業で同社のプロダクトが活用され、アドビでも日本語対応をしっかり行った結果、市場に受け入れられた経緯もあるようです。
機能が改善され続ける
「Adobe Sensei」
このAdobe Senseiというテクノロジーは、クリエイターが楽になるようにと、イラストレーターやフォトショップなど、アドビのさまざまなプロダクトに現在組み込まれています。そして今も機能が改善され続けています。
たとえば今やスマートフォンでも簡単にできるようになった「背景にある不要なオブジェクトを削除する」という機能。昔はクリエイターやデザイナーが「投げ縄ツール」のようなツールを使い、手作業でオブジェクトを選択して除去してから、背景を調整しなければなりませんでした。それが今ではワンクリックでオブジェクトの輪郭を自動的に認識して除去し、さらに「本来そこにあったであろう」背景を周りの画像から推測して塗りつぶすことも可能になりました。
もう1つのコラボレーションについては、アプリのアカウントを持たない人も作業中のクリエイティブにコメントを残したり、具体的な提案を入れたりする機能が、より使いやすくなったと紹介されていました。
アドビは9月、フィグマというデザインコラボレーションツールのスタートアップを約200億ドル(約2.8兆円)で買収するとの意向を発表しました(正式な買収完了は2023年の予定)。このツールはブラウザだけでコラボレーションが可能で、長らくアドビのツールの対抗馬と見られてきました。買収はアドビのさらなるコラボレーション志向を表すものと考えられています。
Adobe MAXの基調講演には、フィグマの創業者でCEOのディラン・フィールド氏もゲストとして登壇。具体的な統合については細かく語られませんでしたが、「アドビのプロダクトの1つとして連携をより進めていきたい」と話していました。