開催前の座席の様子。委員たち・事務局など厚生労働省の関係者に加え、内閣府などからのオブザーバーも参加している

 なお、引き下げ時期は2013年8月とされている。年度はじめの4月ではなく8月である理由は、7月に参議院議員通常選挙が予定されているからだ。「一連の生活保護政策によって、もはやマイノリティとはいえない日本の貧困層の反発を受けないように」ということであろう。約215万人の生活保護当事者が全員、自民党・公明党を支持しなかったとしても、約2000万人の一般低所得者たちが支持すれば、与党の選挙対策としては十分なのだろう。

 そのような背景によって社会保障制度が左右されることの是非はさておき、今回は、特別部会の報告書に盛り込まれている内容と、そこに至るまでの議論を紹介する。

困窮者が日本の基盤を揺るがせている?
序文から疑問だらけの特別部会報告書

 特別部会報告書は、厚生労働省サイト内で公開されている(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002tpzu-att/2r9852000002tq1b.pdf)。

 2ページの「II 総論 1.生活困窮をめぐる現状と課題」で、まず、生活困窮者をめぐる状況がどのようにとらえられているかを見てみよう。冒頭に、このような記述がある。

「生活困窮者の増大によって、この国の基盤が揺らいでいる。」

 筆者は、この書き出しに激しい違和感を覚える。まるで、日本の基盤を揺るがせているのが生活困窮者であるかのようだ。もちろん「生活困窮者によって」ではなく「生活困窮者の増大によって」と書かれてはいるのだが。

 では、基盤が揺らぐ以前の日本は、どうだったのだろうか。続く記載を見てみよう。

「戦後日本の繁栄は、なによりも勤労世代の大多数が就労できて、家族の生活を豊かにすることを夢見て働き続けることでもたらされた。意欲をもって働くものがその手応えを感じ、生活を向上させる条件があったからこそ、この国は高い勤労モラルを実現し、高度な産業国家として世界経済を牽引することができた。」

 高度成長期の「昭和のお父さん」は、確かにそのような時代を生きていた。しかし、「勤労世代の大多数が就労」していたとはいえ、その大多数は男性であり、女性の就労機会は現在以上に少なかった。また、公害など数多くの負の面もあった。急激な産業構造転換や、過疎地を中心とした原子力発電所建造が行われたのも、高度成長期のことであった。