証券金融会社の日本証券金融に対し、大株主の運用会社ストラテジックキャピタルが、日本銀行や財務省、東京証券取引所からの「天下り」の実態調査を求める異例の株主提案に踏み切った。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
ストラテジックキャピタルが株主提案
東芝に続く「調査案件」となるか
「絶対に勝ちにいく」――。物言う株主(アクティビスト)として2000年代から活動を続けるストラテジックキャピタル代表の丸木強氏が、そう“本気度”をにじませるのが、日本証券金融(日証金、東京都中央区)に対して11月22日に行った株主提案だ。
日証金の株式約5%を持つストラテジックキャピタルは6月の定時株主総会で、日本銀行OB役員らの報酬開示を求める株主提案を行った。否決されはしたが、中には「株主価値の向上に資する」などと判断した機関投資家もおり、約24%の賛成票を集めた。
“第2ラウンド”となる今回の提案内容は、日証金の役員指名プロセスを調査する弁護士3人の選任要求だ。会社法は、株主総会の決議により「株式会社の業務及び財産の状況を調査する者を選任することができる」と定めており、この規定に基づき臨時株主総会の招集を請求。総会は来年早々にも開催される見込みだ。
近年、同様の調査要求を受けた会社が東芝だ。筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントが21年、前年の株主総会運営を巡って調査を要求し、賛成多数で可決。調査の結果、総会が公正に運営されなかったことが判明した。
日証金に対してストラテジックキャピタルが問題視するのは「天下り」だ。実際、日銀や財務省、東京証券取引所から連綿とOBを受け入れ続けている歴史がある。
次ページからその歴史をひもとき、ストラテジックキャピタルの狙いを、丸木氏への独占インタビューも合わせて解き明かす。今回の株主提案は、日証金だけでなく株主の機関投資家に対しても、ある“踏み絵”を突き付けることになる――。