家庭や企業にポイントなどを付与して節電を促す節電プログラム。実は、還元率の高さで地方の小規模な新電力が目立っている。なぜ資本力で劣る小規模の新電力が大手電力会社をも上回る還元ができるのか。特集『新電力 節電地獄』(全11回)の#7では、地方の新電力が高還元率を打ち出すことができた“からくり”に迫る。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
一部の地域新電力で
「大手電力超え」の高還元率
国の主導で、電力会社約300社が参加する節電プログラムが12月に始まった。
節電プログラムには法人向けと家庭向けがある。参加登録をしたり、節電目標を達成したりすれば、家庭や法人はポイント付与などの特典が得られる。特典は国の補助金に加え、各社の負担分が原資となる。従って、各社の還元率を見ることで、どれだけ自社の持ち出し分を投入しているかという“やる気”が分かるのだ。
家庭向けでは、投入できるリソースが豊富な大手電力、大手・中堅ガスが主体の新電力が優勢だ。例えば、中部電力ミライズ、東京電力エナジーパートナー、北海道ガス、京葉ガスなどだ。
しかし約300社をつぶさに見てみると、地方の自治体名を冠した幾つかの新電力が存在感を放っている。小規模ながらローカルで根付いている、いわゆる「地域新電力」だ。
中には大手電力の還元率トップの東北電力を上回る地域新電力すらある。いわば資本や電力販売量では圧倒的に劣る地域新電力の“逆襲”だ。
燃料価格高騰で電力各社、とりわけ体力の乏しい新電力が厳しい経営状況にある中、高還元を約束する彼らの狙いとは。そもそも、なぜ高還元率を実現できるのか。次ページからは、大手電力会社をも凌駕する高還元率の地域新電力の実名と併せ、高還元率が実現できるからくりを説明していく。