2016~17年の電力・ガスの小売り全面自由化後、両業界は互いの領域を侵食し合ってきた。節電に伴って付与されるポイントの内容では、大手ガスの良さが際立ち、最大のライバル、大手電力に勝ることも珍しくない。燃料高騰で疲弊している電力業界へのガス業界の逆襲なのか。特集『新電力 節電地獄』(全11回)の#8では、新電力大手26社の家庭向け節電プログラムの還元率ランキングを一挙公開する。上位には東京ガスや大阪ガスなどガス会社が目立った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
節電プログラムの還元率に差
5、6位にガスの東西トップ
国主導で家庭や法人に節電を促す節電プログラムが12月1日から始まった。
参加した電力会社約300社は国からの補助金に自社独自の特典を加え、節電目標達成などの際に「節電ポイント」や「電気代値引きサービス」を顧客に付与する。家庭向け(主に低圧区分)でも、法人向け(主に高圧区分)でも、還元率で電力各社にばらつきが出ている。
そこでダイヤモンド編集部は、新電力大手26社を対象に家庭向け節電プログラムの還元率を徹底比較し、独自の還元率ランキングを作成した。
ランキングを見ていくと、大手電力会社の還元率(詳細は本特集#4『節電ポイント還元ランキング【大手電力9社】東電、関電、中部電に業界序列で“残酷”格差』参照)を上回る新電力が目立った。特に健闘しているのがガス会社である。
電力会社とガス会社は電力小売りの自由化後、双方の市場を激しく奪い合ってきた。節電プログラムをきっかけに、資源高で疲弊している電力業界にガス業界が逆襲する構図なのか。
次ページでは新電力大手26社の還元率ランキングを明らかにする。大阪ガスが5位に入ったほか、東京ガスは6位となった。ランキングは、ガス対電力の構図だけでなく、苦境にあえぐ新電力の現在の勢力図も浮かび上がらせる。