11×11~19×19をどう計算するか

もう25年以上前の話になりますが、私は、東京大学教養学部文科Ⅱ類を受験しました(入学後、経済学部に進学)。東京大学の個別試験(二次試験)の試験科目は、英語、国語、数学、社会(社会は、日本史、世界史、地理から2科目選択)でした。

当時の東大数学(文系)の合格ラインは6割前後で、私はぎりぎりでもそのラインを越せればOKという気持ちで臨みました。そのときの試験範囲は数学ⅠA、ⅡBでしたが、東大の試験といえども、途中式の一部で11×11~19×19の計算が必要な場合があります。

11×11~19×19は、九九と同じく全81通りなので、答えをすべて暗記してしまっている受験生もいるでしょう。また、分配法則を使って暗算する人も少なくなかったのではないかと思います。

分配法則とは、次のような計算のきまりです。
(〇+□)×△=〇×△+□×△ ←△をどちらにもかけてたす

例えば冒頭で紹介した、17×16なら次のように解けます。
[第1式] 17×16
[第2式] =17×(10+6)
[第3式] =17×10+17×6
[第4式] =170+102
    =272

この計算法では、まず[第2式]から[第3式][第3式]から[第4式]で、分配法則を計2回使わなければなりません(17×16と17×6)。また、途中式で17×6を暗算するのを面倒に感じるかたもいるのではないでしょうか。

一方、冒頭で紹介した「おみやげ算」を使えば、次のようにスムーズに計算できます。
17×16=23×10+7×6=230+42=272

東大受験時に、私が「おみやげ算」を知っていたら…

話を戻しましょう。受験生当時の私は、おみやげ算を知りませんでした。かといって、分配法則を使った暗算ではケアレスミスが怖いので、11×11~19×19を、計算用紙に筆算を書いて解いていました。

紙に書いて筆算するのは比較的確実な方法ですが、「書く」という行為が伴う分、一定の時間はかかります。一方、おみやげ算なら、慣れれば数秒で暗算することもできます。

受験当時の私が知っていたら、(私の場合)間違いなく、11×11~19×19は、おみやげ算を使って暗算していました。

東大受験生だけに限りませんが、受験に合格するためには、必要とされる「あらゆる技術と知識を身につける」ことが大切です。だからこそ、当時の私がおみやげ算を知っていたら、それを使っていたでしょう。

紙に書く筆算を否定するわけでは全くありません。一方で、受験合格を目標にする場合、よりよい方法があるなら、それを積極的に使っていくことが大事なのではないでしょうか。