11×11~19×19をパパっと暗算できる「おみやげ算」。今回は、おみやげ算だけでなく、2ケタ×1ケタなど、他の便利な計算方法について、『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』の著者である、東大卒プロ算数講師で、志進ゼミナール塾長の小杉拓也氏に話してもらいます。
2ケタ×1ケタ、1ケタ×2ケタは分配法則で暗算!
分配法則とは、次のような計算のきまりです。
1 (〇+□)×△=〇×△+□×△ ←△をどちらにもかけてたす
[例1] (80+5)×9=80×9+5×9=720+45=765
2 △×(〇+□) =△×〇+△×□ ←△をどちらにもかけてたす
[例2] 6×(20+8) =6×20+6×8=120+48=168
2ケタ×1ケタや、1ケタ×2ケタは、この分配法則を使って計算できます。慣れればパパっと暗算することも可能です。算数、数学でよく出てくる計算なので、小学生くらいから、この方法で暗算できるようになっておくと後々スムーズです。
例えば、85×9(2ケタ×1ケタ)なら「85×9=(80+5)×9」と式を変形することで、上の[例1]のように、計算できます。
また例えば、6×28(1ケタ×2ケタ)なら「6×28=6×(20+8)」と変形することで、[例2]のように答えを導けます。
ちなみに、分配法則の引き算バージョンを使って、それぞれ次のように計算することもできます。
85×9=85×(10-1)=85×10-85×1=850-85=765
6×28=6×(30-2)=6×30-6×2=180-12=168
11×11~19×19は分配法則とおみやげ算、どちらが楽?
ところで、11×11~19×19も、分配法則を使って計算できます。例えば、17×17なら次のように解けます。
[第1式] 17×17
[第2式] =17×(10+7)
[第3式] =17×10+17×7
[第4式] =170+119
=289
このように、楽とはいえない計算になります。まず、[第2式]から[第3式]、[第3式] から[第4式] で、分配法則を計2回使わなければなりません(17×17と17×7)。また、途中式で17×7を暗算するのを面倒に感じるかたもいるのではないでしょうか。そして、[第4式] では、「3ケタ+3ケタ」の計算もする必要があります。
一方、17×17を、おみやげ算を使って解くと、次のようにスムーズに計算できます。
①17×17の右の「17の一の位の7」をおみやげとして、左の17に渡します。すると、17×17が、(17+7)×(17-7) =24×10(=240)になります。
②その240に、それぞれの一の位の7を2回かけた49をたした289が答えです。
必要なのは、次の計算だけです。
17×17=24×10+7×7=240+49=289
17×17以外の例(例えば、18×14、16×19など)で試しても、分配法則よりおみやげ算を使ったほうが、計算が楽になる場合がほとんどです。つまり、「2ケタ×1ケタ」と「1ケタ×2ケタ」は分配法則を、一方、11×11~19×19はおみやげ算を使って、それぞれ暗算するのがおすすめです(「おみやげ算で計算できる理由の証明」については、本連載の第2回をご覧ください)。
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