「後継者難」による倒産が増加している。今年10月は単月として過去最高を記録。今年1~12月の累計件数は、調査を開始した2013年以降で年間最多となるのは確実だ。問題が深刻化する現状と背景について、帝国データバンクが解説する。(帝国データバンク 情報統括部 情報取材課長 内藤 修)
コロナ禍で目立つ
「あきらめ型」後継者難倒産
「後継者難倒産」が高水準で推移している。昨今注目を集める「円安倒産」や「物価高倒産」は足元の外部環境の急変を原因とするのに対し、「後継者難倒産」は古くて新しい経営課題である後継者問題が引き金となった倒産である。
帝国データバンクによれば、10月は56件判明し、単月としては過去最多を更新。2022年の累計(1~10月)は408件に達しており、調査開始の13年以降で年間最多だった21年(466件)を上回るのは確実視される。
後継者難倒産は、代表者の病気や死亡により事業が行き詰まったケースが目立つ。一方で、具体的に事業承継を考えていたものの、コロナ禍で自社事業の先行きを悲観し、最終的に事業をたたむ「あきらめ型」のケースも少なくない。