たとえば無駄な道路は完成後も維持管理のコストがかかるが、理由は後述するが、ゾンビ企業は景気回復時には倒産するので、維持管理コストが不要である。

 そればかりか、ゾンビ企業の延命によってまだ使える設備機械などがスクラップされるまでの期間を延ばすことができれば、設備の有効活用にもなる。

ゾンビ企業があると資源配分がゆがむのか?

 非効率なゾンビ企業が労働者を抱え込むと効率的な企業に労働力が回らず、資源配分がゆがむ、という人もいるが、筆者はそうは思わない。

 不況期には失業者が大勢いるのだから、効率的な企業は雇いたいだけの労働者数を容易に確保できるからである。ゾンビ企業の存在は、効率的な企業が労働者を確保することの妨げにはなっていないのである。

 では、好況期はどうであろうか。心配は無用である。好況期には労働力不足となり賃金が上昇するので、非効率な企業は高い賃金が払えずに労働者が辞めていくからである。

 ゼロゼロ融資が返済期限を迎えれば、返済できないゾンビ企業は倒産することになろうから、その意味でもゾンビ企業が永遠に存続し続けることはないだろう。

 今回は、ゼロゼロ融資の返済時期が景気回復期となりそうなので、失業が問題の時にゾンビ企業に雇用機会を維持させ、労働力不足が問題な時に抱えていた労働力を放出させる、というちょうどよいタイミングとなったと言えそうだ。