多様な宗教が混在する英語圏の「年末のあいさつ」は?引っ越し後に教会を探す意外な理由ユダヤ教徒のホリデーのあいさつは? Photo:svetikd/gettyimages

ダライ・ラマ、ビル・ゲイツ、デビッド・ベッカム、オードリー・タンなどの同時通訳を務めてきた田中慶子さんが、日常やビジネスで役立つ「生きた英語」をやさしく解説! アメリカのように多様な宗教が混在する国では、ホリデーのあいさつはどうすればいいのでしょうか?

政教分離が原則のアメリカだが
大統領就任の宣誓では「神」に誓う

田中慶子・同時通訳者田中慶子(たなか・けいこ)
同時通訳者、Art of Communication代表。ダライ・ラマ、テイラー・スウィフト、ビル・ゲイツ、デビッド・ベッカム、U2のBONO、オードリー・タン台湾IT担当大臣などの通訳を経験。「英語の壁を乗り越えて世界で活躍する日本人を一人でも増やすこと」をミッションに掲げ、英語コーチングやエクゼクティブコーチングも行う。著書に『不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由』(KADOKAWA)、『新しい英語力の教室 同時通訳者が教える本当に使える英語術』(インプレス)。

「God bless America!」(アメリカに、神の祝福あれ!)

 アメリカの大統領のスピーチを聞いていると、このような言葉で締めくくられていることがよくあります。

 この場合、特定の宗教の「神」を指して言っているわけではありません。心の中では自分が信じる宗教の神様を思い描いているのかもしれませんが、言葉として出てくるのは「God」、どのような宗教でも当てはまる表現を使います。

 大統領就任の宣誓の際には、右手を掲げつつ、左手を聖書に置き、「神に誓って」(So help me God)と宣誓するのが慣例となっています。もし、キリスト教徒ではない人が大統領に就任すれば、聖書ではなく、本人が信仰する宗教の教典が使われることになるのかと思いますが、現在までにそのような例はないそうです。

 アメリカは政教分離が原則とされていますが、それでも大統領就任の宣誓では、神への誓いを立てるというのが興味深いところです。それだけアメリカでは、生活や習慣に信仰が染み込んでいるということでしょう。

 アメリカ人の友人が、英語教師として日本で暮らしていた際、「日本に来た当初は教会がなかなか見つからなくて寂しかった」と言っていました。なぜだと思いますか?