クリスマスは誰のもの?
クリスマスツリーをめぐるある街の論争

 アメリカでは、11月下旬のサンクスギビング(感謝祭)が終わると、待ち構えたように街中でクリスマスのデコレーションが飾られていきます。当時、私が住んでいたのはニューハンプシャー州の小さな街でしたが、ここでも街の広場にたたずむもみの木がクリスマス仕様に飾られ、ホリデー気分が一気に盛り上がります。ところが、ある年、この小さな街のクリスマスツリーが問題になったことがありました。キリスト教という特定の宗教のお祝いであるクリスマスのために税金を使うのは間違っているのではないかと、異を唱えた市民がいたのです。

 この主張は、理屈は理解できるものの、クリスマスツリーのないホリデーシーズンは想像しただけで寂しいものです。日本人の私でさえ、そんなふうに感じたくらいですから、その街の人々の多くも同じことを思ったのではないかと思います。最終的には、クリスマスツリーはホリデーシーズンを彩る季節の風物詩のひとつであり、「街の景観のため」と解釈して税金を使っても良いだろうという結論に落ち着いたと記憶しています。

 クリスマスツリーのない殺風景なクリスマスにならなくて済んだことにホッとすると同時に、この議論を通して、アメリカで祝われるホリデーは、すべてがキリスト教のお祝いではないということを、あらためて認識したのでした。

多様な宗教が存在する中
「ホリデー」のあいさつは?

 では、多様な宗教がある中で、ホリデーのあいさつはどうすればいいのでしょうか?

 自身の信仰する宗教とは別のあいさつをされたからと、真剣に怒ったり、本気で気分を害したりする人は少ないとは思いますが、それでも相手の文化に対する配慮はしたいものです。大統領のスピーチが締めくくりに用いる「God bless America」という表現が、「神」とは言っているものの、特定の宗教に限定していないように、一年の終わりの休暇に入る前に、お別れ時のあいさつには、宗教を特定しない「Have a nice holiday!」(素敵なホリデーを)や、「Enjoy your vacation!」(バケーション楽しんでください)などの表現が、無難なようです。

 もちろん、相手の宗教がわかっていれば、「Merry Christmas!」や「Happy Hanukkah!」など、特定の宗教に沿ったあいさつでも大丈夫です。これからホリデーシーズンに入りますが、もし海外の知り合いにあいさつをする機会があれば、ぜひ参考にしてみてください。