選挙前は減税派だった野党の2人は
増税容認に「宗旨変え」

 次は、野党の2人。立憲民主党の枝野幸男前代表と日本維新の会・足立康史議員だ。この両名は現在、所属する政党における権力基盤を失ってしまった。また、選挙前・選挙中は減税を掲げていたにもかかわらず、当選後に今度は「減税を掲げていたことを反省」し、増税容認を始めた。そんな二つの共通点を持っている。

 枝野氏は、立憲民主党の代表だった21年10月末の衆議院選挙で、新型コロナウイルス禍への対応として「時限的な消費税率5%への減税」を掲げていた。「消費税減税は政治的に間違っていた」「消費税減税で(選挙に)勝てるんだったら、とっくの昔に社民党政権ができている」と述べている。

 一方、足立氏が政策責任者であった維新は、先の衆院選で、「大減税」を公約の一番の柱に掲げていた。そうしておきながら、選挙が終わると足立氏は自ら積極的に36兆円もの大増税(預金などの資産に一律1%の課税。つまり預金は目減りしていく)議論を開始。自身の行動に異を唱える同僚議員のTwitterをブロックするなどした。両議員に対しては当然、批判の声が上がった。

 与党が単独で増税をしようとする場合、国民世論の反発を一手に受けるため、慎重にならざるを得ない。しかし、野党が増税を主張してくれたら批判は分散し、与党が増税しやすくなることは明白だ。財務省は大喜びすることだろう。

減税派と見せかけて
隠れ増税派の2人とは

 次に紹介したいのが、減税を唱えているようで行動には移さない、そして減税側にいるようで、発言を精査すると増税派としか思えないという二人だ。世間からは減税側の人間に見えているので非常に厄介な存在だ。

 1人目は、自民党の青山繁晴参院議員だ。「日本の尊厳と国益を護る会代表」である青山氏は、20年3月に「(自民党内の)100人程度の減税勢力が結集した」と会見でコメント。消費税率の10%から5%への引き下げや、軽減税率は当面ゼロ%とすることを提唱した。

 同年5月に行われた同会総会において、消費税減税法案作成の方向性を再確認したものの、いまだに同法案の具体的な案が公表されるには至っていない。「典型的なやったふり」「ガス抜き」といえる。消費増税によって景気が急速に落ち込んだことへの国民の不満を一時的に吸収しておしまいという噴飯物のやり方だった。