JR東海を30年近く支配してきた「皇帝」、葛西敬之名誉会長が5月に死去した。同氏と共にリニア中央新幹線の建設や米国への高速鉄道輸出に猛進した安倍晋三元首相も銃撃事件で永眠した。JR東海は、葛西氏が残した巨大プロジェクトの実現に向かってレールの上を突き進んでいるが、長期独裁体制の弊害やコロナ禍による旅客数の減少、リニア工事の遅滞など課題は山積している。特集『迷走 皇帝なきJR東海』では、12月12日(月)から全8回にわたり、30年近く事実上のトップに君臨していた葛西氏を失ったJR東海の凋落リスクに迫る。
#1 12月12日(月)配信
JR東海リニア中央新幹線は年600億円の赤字!?「葛西案件」の泥沼収支を独自試算
JR東海の葛西敬之名誉会長が亡くなる直前まで、部下らに活を入れていたのがリニア中央新幹線のプロジェクトだ。リニアは技術的な難易度が高く、難工事が予想されるため、技術者の間では「トップ交代後に計画が軌道修正される」とみられていた時期もあった。だが、財政投融資から3兆円の投入が決まると、計画の見直しは困難になった。総工事費の高騰や旅客数の減少が追い打ちを掛けて採算が見通せなくなっているリニアの実像を独自試算で解明する。
#2 12月13日(火)配信
JR東海「上から目線」でリニア沿線住民から総スカン、葛西イズムと国益至上主義の無神経
JR東海のリニア中央新幹線プロジェクトの最大の障害となっているのが、静岡県から工事着工の許可を得られていないことだ。県とJR東海の関係はこじれにこじれている。だが、両者の関係悪化の要因は、論争の的となっている大井川の水減少問題だけではない。JR東海の「上から目線」と「国益至上主義」がどのように関係自治体の神経を逆なでしてきたかや、両者の関係修復のポイントに迫った。
#3 12月14日(水)配信
JR東海・葛西流「トップ人事の奥義」と“イエスマン”金子社長のささやかすぎる抵抗
JR東海の「皇帝」、葛西敬之名誉会長は、いかにして30年近く同社を支配したのか。従順な子分たちを量産する葛西流の役員人事の“奥義”を明らかにするとともに、葛西氏への依存からの脱却に向けた金子慎社長の小さな一歩を解説する。
#4 12月15日(木)配信
暴君・JR東海と重工3社の愛憎劇…日立は蜜月、三菱重工は面従腹背、川崎重工は出禁
JR東海は取引業者に対して強い態度で交渉することで有名だ。国内には日立製作所や川崎重工業、三菱重工業などの鉄道車両メーカーがあるが、JR東海の葛西敬之名誉会長からにらまれ、取引を打ち切られたメーカーも存在する。JR東海とメーカー各社との距離感に迫った。
#5 12月16日(金)配信
JR東海の故・葛西名誉会長「政財界人脈」全解剖、NHKとJAXAのトップ人事まで横槍
鉄道業界には、JR東海の葛西敬之名誉会長と安倍晋三元首相がけん引した「葛西・安倍案件」と呼ばれるプロジェクトが二つある。3兆円の財政投融資を活用するリニア中央新幹線と、日本側が5000億円の融資を提案した対米リニア輸出だ。巨額融資を引き出すなど権勢を振るった葛西氏の人脈をひもとく。
#6 12月17日(土)配信
JR東海「リニア輸出」の幻想…米国案件は血税垂れ流し!インドはJR東日本に丸投げ
JR東海の葛西敬之名誉会長は、安倍晋三政権が打ち出した「インフラ輸出」という成長戦略に乗じて、米国などにリニアモーターカーや新幹線を輸出しようとした。しかし、各地域で開発プロジェクトが浮かんでは消え、輸出による成長戦略はいまや風前の灯だ。高速鉄道の輸出という虚構のために、血税が垂れ流されている実態を暴く。
#7 12月18日(日)配信
JR東海「皇帝・葛西」の訃報でJR3社が雪解けか、JR各社の力学変化を読み解く
JR東海の葛西敬之名誉会長は、正しいと信じたことを実現するためには敵をつくることもいとわなかった。JR東日本をはじめとしたJR他社ともあつれきを生じていた。例えば、「フルムーン夫婦グリーンパス」などの乗り放題チケットに、JR東海だけが全面協力してこなかった。葛西氏の死去を受けて、乗り放題チケットの適用対象や、JR東海と他社の関係がどのように変わるのかに迫った。
#8 12月19日(月)配信
JR東海「30代で年収1000万円」の好待遇も今は昔…JR7社の給与&ボーナスを徹底調査
JR東海は、JR7社の中で最も給料が高く、就職希望者に人気の企業だった。だが、新型コロナウイルスの感染拡大後、賞与が約100万円も下がり、鉄道事業の現場では人材流出の危機感が高まっているという。JR各社の給与水準を比較するとともに、ボーナス激減や離職者急増の実態を明らかにする。
#番外編 12月26日(月)配信
JR東海vsJR東、国鉄民営化以来の確執再燃!リニア品川駅で「土地1ha」を巡る暗闘
国鉄分割民営化時に、JR東海には最低限の土地しか分け与えられず、同社が不満を募らせていた品川駅で、新たな土地の割譲が行われたことが分かった。JR東海がリニア中央新幹線品川駅の用地としてサッカーコート1.2面分もの用地を獲得していたのだ。しかし、品川駅の大地主であるJR東日本と、狭隘(きょうあい)な土地に押し込められているJR東海の確執は解消されそうにない。両社の因縁の地である品川駅を巡る暗闘に迫る。
#番外編 3月2日(木)配信
JR東海の故・葛西名誉会長が旧知の警察官僚を政権に送り込んだ「手口」を告発する!
JR東海の故・葛西敬之名誉会長は、いかにして政界人脈を構築したのか。2022年12月に『国商 最後のフィクサー葛西敬之』を上梓したノンフィクション作家、森功氏に話を聞いた。
#番外編 3月3日(金)配信
JR東海の故・葛西名誉会長が国鉄改革三銃士の「他の2人と袂を分けた」決定的理由
JR東海の故・葛西敬之名誉会長は、どのような戦略で、改革に抵抗する国鉄やJR東海の労働組合と戦ったのか。国鉄分割民営化について『暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史』など複数の著書がある、ジャーナリストの牧久氏に話を聞いた。
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