2022年はリストラが多い製薬業界にあっておおむね静かな1年だった。しかし、22年末に米ファイザー日本法人が400人超のリストラを断行。特集『総予測2023』の本稿では、世界トップ企業のリストラに競合他社が追随する“業界地獄絵図”を予想した。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
ファイザー日本法人の希望退職者
MR中心に400人超が応募
ファイザー日本法人における大リストラの予兆は、実は2022年初頭にあった。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、ファイザーはコロナワクチン「コミナティ」とコロナ治療薬「パキロビッド」を素早く開発・上市。イノベーションの対価として、21年12月期の売上高は対前年で約2倍の812億ドルと猛烈な成長を遂げた。
5年ぶりの世界製薬トップに返り咲いたファイザーだったが、浮かれることなく22年1月には粛々とリストラの動きを見せた。外電が「米国内で営業職削減」の動きを報じたのである。
グローバル製薬会社の常として、本国の方針に倣うのが各国の現地法人だ。ファイザー日本法人のリストラも、業界の誰もが予想した通りであった。
関係者によると、同社は11月までに希望退職者を募集し、400人超が応募したもようだ。
多くは高給取りの花形営業マンである医薬情報担当者(MR)で「配置転換と合わせ、同社のMR人員体制は半減した」と前出の関係者は語る。
ファイザー日本法人だけではない。コロナワクチンで話題となった別の大手製薬も22年末に動き出した。業界関係者は「業界からMRが半減する勢いだ」と嘆息する。なぜファイザー以外の各社もMRを減らすのだろうか。次ページから解き明かしていきたい。