評価額が10億ドル超の未上場企業「ユニコーン」に対し、その10倍の100億ドルを超える巨大未上場企業を「デカコーン」と呼ぶ。その1社に数えられる米ミロは、オンラインのホワイトボードで共同作業できるツールを開発し、コロナ禍に急成長した。ミロ最高収益責任者(CRO)のゼニヤ・ロギノフ氏に、今後の成長戦略や日本進出の狙いを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
世界4000万人が利用する
「全く新しいコラボレーションツール」
――「Miro(ミロ)」のユーザーが全世界で4000万人を超えたとのことですが、他のサービスにない強みは何でしょうか。
オンラインのホワイトボードを使ってミーティングやタスク管理を行えるミロのサービスは、これまでにない全く新しいコラボレーションツールといえます。マイクロソフトやZoom(ズーム)、Skack(スラック)などの大手もその重要性を認識し、同様のツールを開発しましたが、ミロのユーザー数が最も多い。11年前に開発されたわれわれのサービスは、かなり先行しているといえます。
競合より優れた点は、ユーザーエクスペリエンス、大企業の顧客満足度の高さ、機能の専門性です。
ミロのサービスは誰でも使えるシンプルな機能でありながら、特定の業務に特化した専門的な機能も持ち合わせています。
――ミロがズームやスラックに代わるツールになるのでしょうか。
他のサービスを排除するのではなく、われわれは共存していくという考え方です。ズームもスラックもリソースは限られているので、1社が全ての機能を搭載して主権を握るのでなく、各社が強みを持つ分野でそれぞれのツールを開発していくことになると思います。
2011年に米国で設立されたミロは21年に日本法人ミロ・ジャパンを設立。22年6月には日本語版をリリースし、既に70万人を超えた国内ユーザー数は「加速度的に増えている」(ロギノフ氏)という。そんな急成長中のスタートアップは日本市場のポテンシャルをどう見ているのか。そして日本でも、ミロのようなデカコーンは生まれ得るのか。ロギノフ氏に聞いた。