中国の習近平政権が異例の3期目に突入した。習氏が権力基盤を固めた中国は2023年、どう動くのか。ゼロコロナ政策、米中・日中関係、台湾有事の行方は?特集『総予測2023』の本稿では、中国政治に詳しい興梠一郎・神田外語大学教授のインタビューをお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
“習派一色”の最高指導部
政策の軌道修正難しく
――中国の習近平政権が異例の3期目に突入しました。新たに発足した共産党最高指導部の体制をどう分析していますか。
習氏の地方時代の部下である李強氏、丁薛祥氏、蔡奇氏など、習氏の「忠臣」で固めました。まさに「習派」一色の最高指導部体制。習氏の鶴の一声で動く人たちばかりです。
2018年の憲法改正で、国家主席について「2期10年」を撤廃したこともあり、習氏は長期政権を見据えているはず。発足した最高指導部には、後継者となる人物が見当たりません。
問題は権力集中が進み過ぎたことです。習氏のブレーキ役がいないため、一度決めた政策が軌道修正しにくくなる。それだけ政治リスクが高まるでしょう。
意外と注目されていないのが、最高指導部7人を除く政治局員17人の顔触れ。彼らは次の最高指導部を担う人材です。今回政治局入りしたメンバーには、研究者や技術者といったテクノクラートが目立ちます。
ここに習氏が今後、中国をどのような国にしていくのかが表れているといえます。引き続き、軍事技術を含んだ技術強国を目指すことを意識しているのでしょう。
次ページでは、ゼロコロナ政策の行方や米中対立、台湾有事の可能性について、興梠教授が徹底分析する。