日本銀行Photo:PIXTA

10年国債の「実態金利」は
0.25%でなく0.48%?

 歴史的な円安や物価上昇にもかかわらず、日本銀行はイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)による低金利政策を続けている。

 だが金利上昇の兆候は、すでに明らかになっている。

 第1に、長期金利(10年国債利回り)は、日銀がYCCで上限とする0.25%にほぼ張り付いて、国債取引が極端に減少している。

 10~11月には取引が成立しない日が続いた。12月5日も10年国債の業者間取引が成立しなかった。

 第2に、地方債の発行利回りが急速に上昇している。

 12月2日に条件を決めた名古屋市と京都市の10年債の場合、利回りが0.554%で、新発10年物国債利回りとの乖離(スプレッド)は0.29%だった。6月には0.06%だったので、0.23%拡大した。

 地方公共団体のリスクが急上昇したとは思えないので、これは、マーケットが要求する10年国債の利回りが0.23%上昇したためだと解釈できるだろう。

 そうだとすれば10年債の「実態的な」金利は現在0.25%+0.23%=0.48%ということになる。

 長期金利の実態は、日銀の金利抑制にもかかわらず上昇しているのだ。日銀はあまり遠くない将来にYCCを修正せざるを得ないだろう。