池田組は「経済ヤクザ」の呼び声

 警察庁によると、構成員の数は、六代目山口組が約4000人、池田組が約80人(いずれも21年12月末時点)。池田組は、もともと六代目山口組の主要団体の一つで、六代目山口組から分裂した神戸山口組の傘下に入った後、20年7月に独立。その後21年11月に指定暴力団に指定されたことで特定抗争指定暴力団の制限から外れていた。

 なお、池田組長は五代目山口組時代から、その豊富な資金力には定評があり、神戸山口組誕生の立役者の一人といわれているほどの人物だ。金融や不動産など幅広くシノギ(資金獲得活動)を手がける「経済ヤクザ」として知られている。

 そのシノギは幅広く、岡山や東京に巨大なビルを50棟以上所有する不動産事業をはじめ、投資会社の経営や金融業、駐車場経営、運転代行サービス、貸しおしぼりサービス、飲食店・バー・クラブ経営など合法的な正業を営む法人を通じた経済活動を行っており、納税もしているという。

 その池田組は、資金力を背景に、「反・六代目山口組」として自分からは手を引かない可能性が高く、分裂状態はそう簡単には終わらないと考えられる。一方の警察も、簡単には特定抗争指定を解除するはずもなく、ともに活動を著しく制限された状態が続くことになりそうだ。

 こうなると、とどのつまり、特定抗争指定により暴力団が暴力団たるゆえんの本来の活動や振る舞いができず、その存在意義が問われることになる。言い換えれば、六代目山口組や池田組、神戸山口組、ひいては暴力団のあり方そのものに変質を迫るだけのインパクトが、特定抗争指定にはあるのだ。

 暴力団の「生き残り」をかけた戦いは、今後熾烈(しれつ)さを増していくはずだ。暴力団が暴力団であろうとすればするほど、今の形態のままでは生き残れない状況を自ら作り出し、「自壊」を早めることになる。