工藤会の弱体化から見えてくるもの

 他方、「世界最大の犯罪組織であるヤクザの中でも最も狂暴な団体」とアメリカ財務省にも言わしめ、「特定危険指定暴力団」に唯一指定されている工藤会も、生き残りをかけた正念場を迎えている。構成員の減少と高齢化が顕著であり、後継者不足も深刻なのだ。

 工藤会の実態を下記の表にまとめた。20代の組員はわずか2人、70歳以上が6人に1人だという。それゆえ数年前から進出している関東で、いわゆる「半グレ」との連携を進めるなど、新たな資金源を得ているそうだ。

 予断は許されないものの、警察や社会による暴力団排除(暴排)の包囲網はますます強化され、シノギは細っていくばかりで、こうした「自壊」も予想されるところである。

 福岡県警が取り組んだ頂上作戦では、多くの構成員らが摘発され弱体化を推し進めた。しかし、真の意味での工藤会の壊滅には、「離脱者支援の強化」が不可欠だ。本心では脱退したい組員が多い中、脱退への意思を後押しする力となり、組織を内部から崩壊させる(自壊を早める)ためには、官民挙げた離脱者支援(とりわけ就労支援)が今こそ必要だと筆者は考える。

 そして、それは何も工藤会に限った話ではない。暴力団の壊滅、暴排には、元暴アウトローの跋扈(ばっこ)や再犯を防止するための受け皿となる社会での居場所、とりわけ働く場所が必要である。

 暴力団が壊滅した先に生き残るのは当然、離脱者であるべきだ。繰り返すが、離脱者支援(とりわけ就労支援)が最後の重要なピース、切り札である。