視覚障がい者をアシストする盲導犬の頭数が減っている。22年の3月時点で実働するのは848頭と、視覚障がい者の数に対して圧倒的に足りない。そんな中、IT企業各社が「視覚」を助ける最新技術を生み出している。目薬で有名な「参天製薬」も挑む最新事情をレポートする。(和田ユースケ/5時から作家塾(R))
日本に視覚障がい者の人は何人いるのか。これは結構むずかしい問題だ。厚生労働省の「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」によると31万2000人。日本眼科医会は、2007年に163万7000人いた視覚障がい者が、30年には200万人に達すると推定している。
この大きな差の理由は、前者が身体障害者手帳の所有者を対象としているのに対し、後者はそれに限定せず米国基準で推計したからという見方が大勢だ。
介助する人を除けば、視覚障がい者をアシストする代表例は盲導犬だろう。しかし、10年頃をピークに盲導犬は減少傾向が続き、22年3月末時点で実働するのは848頭である(日本盲人社会福祉施設協議会の年次報告書)。前者の視覚障がい者数と比較したとしても、圧倒的に少ないことがわかる。
この不均衡を埋めるかのように、盲導犬の代替をする、あるいは盲導犬ではできないサービスを提供するIT企業が出現してきた。その最新事情をレポートする。