採用のプロセスごとに実施時期を見ていくと、これまでは3月がピークだった企業の合同企業説明会やセミナーは、2月がピークになっています。これは3月1日のいわゆる採用広報解禁タイミングで、就職サイトからの応募や、エントリーシート(ES)の提出が可能になるため、それに向けて2月から気になる企業を見つけておきたいという気持ちの表れでしょう。そのほか、個別企業説明会が3月、ESが3月、面接が4月にそれぞれピークを迎えています。6月以前に採用活動を開始している企業も一定あることがわかります
スケジュールの「過密化」も特徴です。オンライン化で、学生の活動量が増えています。企業へのアクセスが容易になり、エントリーが増えて、複数のプロセスが並行しながら進むため、段取りよく取り組まなければ、抜け漏れが発生してしまいます。スケジュール管理、計画性、抜け漏れ防止が重要になってきています。
23年卒の就活はコロナ禍が落ち着いてきた局面でもあり、オンラインと対面の使い分けが進み、最終面接が対面という企業が7割まで増えたことも特徴です。学生、企業側ともに「最後には会って決めたい」という心理が働いた結果でしょう。都市圏では一次面接はオンラインが多いのですが、地域や規模によっては一次面接から対面のところもあります。
インターンシップの影響が拡大も
内定への絶対条件ではない
インターンシップの存在感がさらに高まったのも昨今の就職活動、採用活動の特徴です。23卒でもインターンシップの参加、応募、件数、割合とも昨年対比で増えています。学生の8割がインターンシップを経験し、企業の7割以上が実施しています。また、内定者の中に自社のインターンシップへの参加者がいる割合も、8割となっています。
インターンシップに参加した企業に入社する予定かどうかを聞くと、36.9%の学生が「イエス」と答えており、インターン参加企業と同じ業界の企業に入社する予定の学生も入れると65%にのぼることを考えると、今の学生にとってインターンシップは、就職先の決定に影響を与えていることが分かります。
インターンシップへの参加は必ずしも内定に直結しないのですが、相互の理解が深まることによって、マッチングする確率が高くなる傾向があります。ただし、採用数での割合は3割程度です。そもそも企業が実施するインターンシップの参加枠数には限りがあり、中にはインターンシップの参加には、選考が必要なものもあります。インターンシップの選考に漏れたとしても、採用選考へのエントリーは受け付けている企業がほとんどなので、インターンシップに参加できなかったからといって、決してあきらめる必要はありません。
23年卒の傾向で顕著だったことのひとつは、大卒後の進路を考えるうえで影響を与えたものとして、「親」と答えた人が半数以上おり、前年より増加したということです。これは、コロナ禍で在宅時間が長くなり、親子が接する機会が増えたこと、またテレワークをしている親の仕事をする姿に触れる機会が増えたことが背景にあるのでしょう。オンライン会議中に笑い声が起こっているのを聞いて、「仕事って楽しそうだな」と思う場面があったり、「この会社ってどう思う?」などと親に質問してみたりするなど、親子間のコミュニケーションが増えたと考えられます。