「ガクチカ」に過度な心配は無用
リアル面談は練習あるのみ

 24年卒はコロナネイティブ世代で、サークル活動や部活動がなかなかできず、企業が面接などで質問する「学生時代力を入れたこと」が書けない、いわゆる「ガクチカ書けない」問題を心配する学生は多いようです。ただし、企業も「華々しいエピソードなどは求めていない」と公言しています。目立たないことでも、「なぜそれに取り組んだか、その経験をどう活かすか、どういうところに喜びや効力感を感じたか」というところからわかる人となりや価値観を知るために聴いているのであって、決して派手なエピソードでないといけないということはありません。

 思い込みを捨てて、「素の自分」が伝わるエピソードを探してください。企業によっては「大学時代に限定せず、過去に遡って自分の人柄が伝わるエピソードを教えてほしい」というところもあります。今後、「ガクチカ書けない」問題は落ち着いていくと思われます。

 オンライン面接は、学校でもオンライン授業が当たり前になってきている昨今、あまり抵抗は少ないようです。自分に馴染みのある自宅や学校から参加できるので、リラックスして望めるという声も聴きます。逆に対面での面接は、緊張感も高く、慣れていないこともあって、苦労が多いという話を聴きます。

 とはいえ面接にテクニックなどはなく、なぜその会社やその仕事に就きたいかを「自分の実体験を交えて、自分の言葉でわかりやすく話す」ことが重要です。Youtubeには面接のテクニックなど魅力的に見えるコンテンツが多数ありますが、動画だけ視聴してわかった気になっても、実践を積まなければ人に想いを伝えるというのは難しく、なかなかうまくいきません。

 人事担当者は経験豊富なので、自分の言葉で話せなければ、小手先の技術は見破られてしまうでしょう。自分の言葉で口に出し、それを第三者に聞いてもらう練習をするのが、結局は近道です。

 今回は、23年卒の総括と24年卒の見通しについてお話しました。次回は保護者の方に向けて、お子さんの就活と向き合う際の心得をお話したいと思います。

(リクルート 就職みらい研究所 所長 栗田貴祥、まとめ/ライター 奥田由意)