また、以前からあった「学生の二極化」もコロナ禍でより目立っています。学校に行く機会が少なかったため、同級生が何をしているかわからないので、学生は孤立しがちです。かつてのように就活への意識が薄かった学生が、積極的な学生に触発されて動くといった機会が少なくなっているのです。同級生の動きが見えないので、「まだいいだろう」と思って動き出せないという人も多いようです。
大学ではリアルでの講義も再開されていますが、「教室で同級生に会っても関係性が希薄なので、就活の進捗についての生々しい話は聞きにくい」という人が増えており、同級生に聞けない代わりにSNSのコミュニティで、気になる企業の動向や志望が似通っている他学生の動きを確認するという例も多いようです。
大学側にとっては、これまではガイダンスの実施や、学校で見かけた学生に直接声をかけることで、意識を高めることができたのですが、コロナ禍でなかなかアプローチしにくい中、就活の意識を持ちにくい学生にどのようにアプローチするかで悩んでいるとよく聞きます。キャリアセンターなどが、就活の情報交換の仲間づくりや、グループワークのためのリアルの場を設けるなど、コミュニティづくりに腐心し、学生間の情報共有を促しています。このあたりには、企業が学生にアプローチする際のヒントもあるのではないでしょうか。
24年卒も採用意欲旺盛
対面・リアル両面で準備を
さて、24年卒の就活の見通しについては、どうでしょうか。就職みらい研究所の調査によると、8割の企業が採用を実施する予定です。採用人数は変えないと答えたところが7割、増やす企業は7.6%、減らす企業は1.7%となっています。増やすと答えた企業は昨年と比べて5.9ポイントほど高まっています。企業は「積極的に採用したい」と考えており、コロナ禍で厳しかった飲食・サービス業界も昨年以上に採用意欲が高まっています。
また選考方法では、「ウェブを積極活用しつつ対面も増やしたい」という企業が多く、使い分けが増えていきそうなので、両面での対応が必要です。
最近の新しい傾向として、大手を中心に2割ほどの企業が、ES提出から一次面接の間に、動画選考を実施しています。学生の仕草や声のトーンなどシートではわからない情報量が多く、判断材料として有効と考えているようです。学生にとっては、面接で話す内容を整理しつつ撮影にまで気を遣わなくてはならないため、負担に感じられることもあるようです。
24年卒では、6割の企業がインターンを実施する予定です。『リクナビ』のインターンシップ・1day仕事体験のリクナビでの23年卒と比べて、10月以降増える傾向にあります。なお25年卒、すなわち24年夏に実施されるインターンシップから、一部の要件を満たしていれば、企業が得た学生の情報を翌年3月1日以降の採用選考に使用してもよいことになったため、インターンシップ参加者を採用のための母集団として、エントリーを呼びかける企業は確実に増えるので、インターンシップの重要性は高まりそうです。