海外の仕事にトライすること自体が
自分への投資につながる

 自分への投資をするのに効果的な年代や、職業、年収レンジなどはあるのでしょうか。私は本来、世代は問わないと考えていますが、実態としてはやはり、20代後半から30代くらいまでの方が多いように思います。

 職種では、ソフトウェアエンジニアをはじめとするクリエイティブ関係の人が多いでしょう。オーストラリアで行われているような伝統的なワーキングホリデー制度を利用する人は、より若い20代前半から半ばの人が多いと思いますが、オンラインでリモートワークをする、デジタルノマドと呼ばれる人はIT系、クリエイター系で、もう少し上の年代の方が多いのではないでしょうか。

 年収はおそらく、日本でもある程度フリーランスで稼げるかどうかがベースになると考えられます。日本の場合、ソフトウェア開発のフリーランスの収入はあまり高くないので、500万円から600万円ぐらいの年収の人が、海外の仕事で2倍から3倍の収入を目指すことは可能ではないかと思います。

 海外の仕事にトライすることは、それ自体が自分への投資になります。先ほど紹介したハーバード・ビジネス・レビューの記事でも触れられていますが、デジタルノマドのいいところは、仕事が来る国と今自分がいるところとのブリッジとしての役割が果たせることです。

 悲しいかな、日本ではITの活用が大きく遅れていますし、グローバル企業のプロダクト開発のやり方が必ずしもできていません。20代後半から30代前半で受託系の会社でソフトウェア開発をしている人が、モダンな開発手法のやり方は知っていても、自分が今いる会社ではなかなか知識を生かせない状況だとします。その人が、成長中の米国スタートアップの仕事をリモートワークでする機会があれば、最新に近いビジネス開発やプロダクト開発の手法を、自分ごととして経験することができ、自身の成長が期待できると思うのです。

 収入を上げるだけでなく、グローバルの会社と付き合うこと自体が自分への投資にもなります。もっとベタなことを言えば、英語でのコミュニケーション能力が確実に上がると思いますし、そのことが日本経済の底上げにもつながると思います。