オンライン化でマニュアル的になった
1次面接の代行ニーズが高まる

 かつてはがきでエントリーしていた時代に、企業ははがきに記載された学生の情報を手入力する業務をアウトソーシングしていた。そのあたりから、現在につながる採用代行サービスが本格化した。インターネット募集ではがきよりも気軽にエントリーできるようになり、新卒も中途も応募者が一気に増えた。大量の応募を素早くさばくため、採用代行サービスを使う企業が増えていった。

 それだけではない。新型コロナウイルスの感染拡大により、選考方法が一変した。オンラインで1次面接する企業が急激に増えたのだ。これにより、例えば福岡県在住の学生でも東京本社の1次面接を簡単に受けられるようになるなど、心理的ハードルが下がり、それだけ応募も増えた。

 オンラインで便利になった半面、弊害もある。

 世界最大級の総合人材サービス会社、ランスタッドの杉浦進哉氏(ソースライト事業部ジャパンカントリーヘッド)によれば、「オンライン面接だと、対面面接よりも相手の表情や臨機応変な受け答えが見えにくくなり、選考の進め方がシステマチック、マニュアル的にならざるを得ないと感じる企業が増えてきた」という。そのため、特に最近、1次面接代行のニーズが高まっているようだ。

 弊害は他にもある。応募が増えた分、学生の内定辞退率も増加しているのだ。企業側が、内定者が本当に入社するのかどうか見えにくくなり、選考回数を3回から4回に増やしたりして、内定承諾率(企業が出した内定を承諾した求職者の割合)を高める保険をかけるようになった。その分だけ、採用業務の負担が増した。そこで人事担当者の負担を軽くするため、採用代行サービスを検討する企業が増えたというやむなき事情がある。

 採用代行サービスを使った企業はどう感じているのか。ランスタッドに寄せられたクライアントの意見を、下表の通りまとめてみた。

 これを見ると、「コア業務に集中できるようになった」「内定承諾率が上がった」といった、具体的な成果を得た企業も多いことが分かる。残業時間が減るなど、社員満足度の向上にもつながっている。

 学生にもメリットがある。人事担当者が忙しいと、エントリーシートの大学名しか見ずに書類選考してしまうケースも少なからずある。代行サービスを使えば、クライアントからあらかじめ読み込むポイントや欲しい人材のことを聞いておき、それに基づいて代行業者がプロフィルをきちんと読み込んで判断するという体制を整えられる。