実は「専門性が高い」採用業務
社員教育を怠ると大きなミスも
仮に代行サービスを使わず派遣社員に依頼する場合、新卒採用はシーズンが限られているため、派遣社員をトレーニングする時間がないというケースがある。そうなると、メールで合格者に通知する際、誤って「不合格」と送ってしまうなど、たったワンアクションで大きなミスにつながる恐れがある。
そうしたミスをなくして企業ブランドを守るため、人事担当者には「そこはプロにやってもらわないと気が気ではない」という心情が出てくる。
では、そのプロである人材サービス企業は、採用代行業務の質をどう担保しているのか。学生もクライアントも、そこは気になるだろう。
採用業務は、実は事務作業の専門性が高い。新卒の就活は、不特定多数に向けた求人広告サイトや個人に向けたスカウト型新卒採用サイトを使ったり、学内セミナーにも参加したりするなど、就活の入り口が複数化している。そうしたデータを企業が一元管理するための、採用向けの専用システムというものがある。
派遣社員だと、そのシステムに触れたことがないというケースもある。そんなとき、そのシステムの扱いに慣れている人が求められる。採用代行は裏方の仕事だが、職人技のようなところがあるというわけだ。
ランスタッドでは、同社の正社員が、社内でシステムの仕組みやソフト利用のテクニックなど、IT系のリテラシーに関するアカデミックなトレーニングを受ける。
他にも、例えば「再来週に会社説明会をしたい。どうすればいいか」という問いに対し、「この就職サイトで何月何日に会社説明会をするという案内の枠を作り、定員を何人に設定する」といったスケジュールの組み方を、具体的なケーススタディーから学んでいく。その上で、最後にはクライアントのプロジェクトの中でOJTで学んでいく。
ここまでしっかり社員教育することで、ようやく代行業務サービスが成り立つのだ。
もちろん、採用代行には相応の費用が発生する。だが、うまく使いこなせれば、企業の社員満足度が上がり、学生の選考に対する納得感も高められるのだ。