仕事でも、意外に漠然とした話が出ることは多い。分解思考によって要素を分解すれば、今何をすべきかを明らかにすることができる。特に「解像度が高い」と言われる人は分解の精度が高く、適切な方法を選び、効率的に高い成果を出している。

◇分解のポイント

 分解にはいくつかのポイントがある。

 まずは、その数字を構成する要素が何かを考え、どんどん分解してみることだ。たとえば「売上」を分解すると、「単価×顧客数」と構成要素に着目して分解できる。さらに分解するなら、「顧客数」は「リスト作成×アポイントがとれた率×成約率」と考えられる。

 抽象的なものを具体的にする方向の分解もある。たとえば、「なんかしっくりこない」というぼんやりとした違和感は、一歩具体的にして「求めている質は何か」と考える。「質」を「色×質感×全体のバランス」などの具体的な要素に分解できれば、考えるべき選択肢が具体化される。

 実現のために必要な要素やフローを考え、方法で分解するのもよい。たとえば、「顧客獲得までのフロー」は「リスト作成×アポイント(%)×クロージング(%)」と表せる。

 対象を分解することで、問題点がどこにあるかを考えることもできる。「なぜ予算が達成できないか」という問題は「人の問題×PRの問題×商品の問題……」などと分解できるだろう。

◇分解思考が可能にすること

 人口減少時代に突入し、生産人口が増えないことが明らかになった今、国や企業は生産性に注目するようになった。人数を増やさずとも、1人の生産性を1から2に上げれば、同じ人数でも生産性は倍になる。やみくもに頑張るのではなく、こうして生産量を上げるほうが合理的だという認識が定着しつつある。ムダを省き、仕事を効率化する分解思考は、生産性を上げ、より重要なことに時間を使うためのツールだ。

「仕事ができる」人は、課題を分解し、問題点として具体的に話すことができる。たとえば、「悪化した業績を立て直そう」という目標に向けて、主力商品の商品パッケージやPR手法を刷新しようとしているとする。ここで社長に「パッケージを女性に人気のティファニーブルーにします」と伝えてもわからないし、担当社員に「業績を立て直そう」と言ってもイメージができないはずだ。分解しておけば、相手によって何を話せばいいかわかりやすくなる。社長には、「商品イメージの刷新で新たな顧客層を取り込み、前年比売上200%を目指します」と伝えればいいし、部長には「パッケージの刷新、インフルエンサーを使ったPR、販売店への商品説明の実施」と一段具体的に伝え、担当には「若い女性をターゲットにしたデザインにしよう」と相談することができる。