日銀の長期金利「上限0.5%」の曖昧な根拠、金融政策には科学的手法の導入が必要だPhoto:PIXTA

長期金利の上限はどんな根拠で決めたのか?
客観的科学的指標は存在する

 長期金利の動向は、為替レートや株価をはじめとして、さまざまな経済変数に極めて大きな影響を与える。

 実際、昨年12月20日に日本銀行がイールドカーブコントロール(YCC)の長期金利の上限を0.5%に引き上げて以来、為替レートも株価も変動し始めた。

 上限引き上げを市場関係者の多くは従来の緩和政策の「事実上の修正」と受け止めたが、日銀は「市場機能の改善」を図り、金融緩和の効果をよりスムーズに波及させる狙いだと緩和政策の継続をいっている。

 ところで長期金利の上限値を0.5%としたのはどのような根拠に基づいて決定されたのだろうか?

 これについての説明は何もされず、ただ単に0.5%という数字が発表されただけだ。

 根拠についての何の説明もなかった以上、この数字は、単なる腰だめで決めたとしか考えようがない。だから、これからさらに引き上げられていく可能性が高い。

 だが金融政策は、腰だめで決めるのではなく科学的客観的基準が必要だ。そして政策決定のガイドとなるべき、客観的で科学的な指標は存在する。