快適に目覚めるための5つの方法

 解析により、覚醒レベルの違いを遺伝的に説明可能なのは約25%どまりであって、その他の多くは生活習慣によって説明されることが分かった。検討した全ての因子の影響を互いに調整後、以下の三つの生活習慣に関わる因子が、覚醒レベルにそれぞれ独立して関連していることが明らかになった。

 一つ目は前日の身体活動量であり、身体活動量の多い10時間の平均加速度が高いほど翌日の覚醒レベルが高いという関連が認められた(β=0.02、P=0.049)。反対に、活動量の低い5時間の平均加速度が高いことは翌日の覚醒レベルの低さと関連があり(β=-0.21、P=0.004)、夜間の中途覚醒の少なさが翌日の良い目覚めに関連していると考えられた。

 二つ目は通常よりも長く眠ることであり(β=0.90、P<0.001)、また、通常より遅い時刻に起床することも睡眠時間とは独立して、朝の覚醒レベルの高さと関連していた(β=0.75、P<0.001)。一方、睡眠効率(臥床時間に占める睡眠時間の割合)は有意な関連がなかった。

 三つ目は朝食の組成であり、高炭水化物食(炭水化物75.7%)を摂取した時の覚醒レベルが有意に高く(β=1.42、P=0.002)、反対に高タンパク食(タンパク質32.5%)を摂取した時の覚醒レベルは有意に低かった(β=-1.36、P=0.012)。なお、覚醒レベルの変化が最も大きかったのは、経口ブドウ糖負荷試験(75gのブドウ糖溶液を飲んだ後の血糖値の変化を見る検査)を行った日であり(β=-6.97、p<0.001)、単純糖質の摂取は覚醒レベルを下げることが示唆された。

 これらの結果についてVallat氏は、「運動は基本的に多ければ多いほど翌朝の目覚めに良いようだ。ただし、高タンパクの朝食が覚醒レベルの低さと関連しているという結果には、正直に言って驚いた」と述べている。また、論文の上席著者である同大学のMatthew Walker氏は、「運動と覚醒レベルとの関連は常に一定ということではなく、多くの運動をすることで十分に睡眠ができた場合に、より大きな効果が生じる」と付け加えている。

 なお、今回の研究報告の全てがこの領域の専門家に肯定的に捉えられているわけではない。例えば、睡眠習慣に関する啓発サイト(The Sleep Doctor.com)の立ち上げ時の指導にあたった臨床心理学者のMichael Breus氏は、「報告された結果の朝食に関する部分は、これまでの知見からややずれている。私の経験や既報論文によれば、高炭水化物食は眠気を誘発することが多いはずだ」と話す。そのBreus氏は、快適な目覚めのためのシンプルな方法として、以下の5項目を提案している。

・毎日同じ時間に起きる。

・カフェインの摂取は午後2時まで。

・飲酒は就床の3時間前までにやめる。

・毎日運動を。ただし、就床時刻の4時間以上前までに終了する。

・起床後は深呼吸を15回、水を15オンス(400mL強)飲み、外に出て15分間日光を浴びる。

(HealthDay News 2022年12月6日)

https://consumer.healthday.com/sleep-and-health-2658803540.html

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