若者からシニア世代まで、幅広い年齢層で「投資」への関心が高まっている。先行き不透明な未来に備えて、銀行預金にお金を預けっぱなしにするよりも、資産を積極運用したいという機運が社会全体で高まっているからだ。
そこで、お金で成功するために参考になるのが、世界累計で200万部を突破した大ベストセラーの邦訳版で、経済的自由を勝ち取るための教訓を「人間心理」の側面から教える『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』だ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が「ここ数年で最高かつ、最も独創的なお金の本」と絶賛した本書より、一部を抜粋・編集して、「お金の神様」に嫌われる人が無意識にやっている「NG行為」をご紹介する。

【お金の神様】に嫌われる人が無意識にやっている「NG行為」・ワースト1Photo:Adobe Stock

車の購入と投資を比較してみよう

 車を手に入れたくなったとする。新車の価格は3万ドルとする。選択肢は次の3つだ。
(1) 3万ドルを払って新車を購入する
(2) もっと安い中古車を探す
(3) 盗む

 99%の人は、3番目の選択肢を避けるだろう。失敗したときの不利益が、成功したときの利益よりも大きいからだ

 さて、ここからが大事なところだ。車の例と同じように、投資の場合も3つの選択肢がある。
(1) 代償を支払い、ボラティリティ(変動性)や混乱を受け入れる
(2) 中古車を買うように、利回りは少ないが安定した投資資産を探す
(3) 車を盗むように、リターンは得てもそれに伴うボラティリティは避けようとする

 投資をする人の多くは、3番目の選択肢を選ぶ。悪いことをしようという意識はなく、法律を破るわけでもないが、結果的に車泥棒のように、代償を払わずにリターンを得ようとするのだ。

「お金の神様」に嫌われる行為=無償でリターンを求める

 だがお金の神様は、代償を払わずに報酬を求める人を好まない。車を盗んで逃げのびる者もいるだろう。だがほとんどの場合は、捕まって罰を受けることになる。投資も同じなのだ。世の中はそんなに甘くはない。当然、支払わなければならない代償がある。

 投資の代償とは、ボラティリティや恐怖、疑念、不確実性、後悔などに耐えることだ。「投資で成功するには代償が必要である」という認識がないと、タダで何かを手に入れようという心理が働く。それは万引きと同じだ。

人間が投資リターンの代償を避けたがる理由

 なぜ、車や家、食事、休暇などに代償を支払うことを厭わない人たちが、優れた投資リターンへの代償を必死に避けようとするのだろうか。

 答えは簡単だ。投資で成功するために必要な代償はわかりにくいからだ。目に見える値札はついておらず、良いものを手に入れるために支払うべき料金のようには感じられない。むしろ、何か間違ったことに対する罰金のように感じる

 人は料金を支払うことには抵抗を覚えないが、罰金は嫌う。だから先回りして、できる限り罰金を避けようとする。自分の資産が減っていくのを罰金のように感じている人は、自然と投資の代償も避けようとする。

 しかし、何かを得るためには、その代償が何かを見極め、それを支払うことが必要なのである。

(本稿は、『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』より一部を抜粋・編集したものです)