「宝くじでも当てないかぎり、億万長者なんて無理」と思っている人は多いのではないだろうか? しかし、そう簡単に諦める必要はない。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙が「ここ数年で最高かつ、最も独創的なお金の本」と絶賛した、世界累計200万部超の大ベストセラー書籍の邦訳版『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』によると、ごくありふれた職業の会社員やパートでも、莫大な資産を築くことができるという。本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、「普通のパート従業員」が億万長者になった“シンプルな理由”をご紹介する。

「普通のパート従業員」でも億万長者になれた、たった1つのシンプルな理由Photo:Adobe Stock

「ごく普通のパートタイマー」が巨万の富を手に入れた

 私の好きなウィキペディアの項目はこう始まる。

「ロナルド・ジェームズ・リードは、アメリカの慈善家、投資家、清掃員、ガソリンスタンド店員である」

 リードはバーモント州の田舎で生まれた。家族で高校を卒業したのは、彼が初めてだった。家が貧しく交通費がなかったため、学校には毎日ヒッチハイクをして通っていたという。

 周りの人は、リードについて特筆すべきことは何もないと口を揃えた。リードはガソリンスタンドで接客と自動車整備の仕事を25年間務め、その後は百貨店のJCペニーで清掃員として17年間パートタイムで働いた。

 2014年に92歳で亡くなったとき、この田舎の地味な清掃員の死は、国際的なニュースになった。同じ年に他界したアメリカ人は281万3503人。そのうち死亡時に800万ドル以上の純資産を持っていたのは4000人にも満たないリードは、そのうちの1人だった。

驚くほどの資産を築いた「シンプルな理由」

 知人たちは驚いた。清掃員だった彼が、いったいどこでそんな大金を手に入れたのか?

 宝くじが当たったわけでも、遺産があったわけでもない。彼は若い頃から節約して金を貯め、それを優良株に投資していただけだった。数十年が経過し、小さな投資額は複利効果で800万ドル以上に膨れあがっていた。
 
 ガソリンスタンドで働きながらコツコツ貯金をして投資をし、莫大な資産を築いた彼は、その死後にメディアで注目の的になり、SNSでももてはやされた。その結果、資産を増やしたい人々にとっての良きロールモデルになった。

他人の成功を外見だけで判断してはいけない

 だがリードが生きているあいだは、誰も彼を富のロールモデルにしようとはしなかった。なぜなら、彼が巨額の富を抱えていることは、身近な人ですら知らなかったからだ。

 もし偉大な作家の作品を読めなければ、文章の書き方を学ぶのはとてつもなく難しくなるはずだ。目標としたり、憧れたりする作家もなく、真似をしたい文章のテクニックや文体もなければ、どうやって文章を上達させられるというのだろう? 目に見えないものから学ぼうとすることは、これほどまでに難しいのである。

 これが、私たちが富を築くのが難しい理由だ。世の中には、地味に見えても実は裕福な人や、裕福に見えても破産寸前の生活をしている人がたくさんいる

 他人の成功を目に見えるもので判断しそうになったり、誰かのようになりたいと思ったりしたときには、このことを忘れないようにしよう。

(本稿は、『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』より一部を抜粋・編集したものです)